独り身の老後にはどれだけの「貯蓄」が必要? 65歳以降の「生活費」と定年前にできる対策とは?
この記事では、定年後、独り身生活に必要な生活費と収入の目安について紹介します。
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定年後の1ヶ月の平均消費支出
表1は、総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編) 2023年(令和5年)平均結果の概要」による、65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月の平均消費支出です。
表1
| 食費 | 4万103円 | 27.6% |
| その他の消費支出 (諸雑費・交際費・仕送り金) |
3万821円 | 21.2% |
| 教育・娯楽費 | 1万5277円 | 10.5% |
| 交通・通信費 | 1万5086円 | 10.4% |
| 光熱・水道費 | 1万4436円 | 9.9% |
| 住居費 | 1万2564円 | 8.6% |
| 保健・医療 | 7981円 | 5.5% |
| 家具・家事用品 | 5923円 | 4.1% |
| 被服及び履物 | 3241円 | 2.2% |
出典:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編) 2023年(令和5年)平均結果の概要」を基に筆者作成
消費支出における月の平均額は、14万5430円でした。消費支出の費用を種目別に見ると、「食料」が最も多く4万103円、次いで「その他の消費支出(諸雑費・交際費・仕送り金)」で3万821円、続いて「教育・娯楽費」が1万5277円、「交通・通信」が1万5086円となっています。
さらに、直接税(所得税・住民税・相続税など)と社会保険料として「1万2243円」の支出が発生します。
定年後の収入
ここでは、1ヶ月の消費支出に対して、単身無職世帯の平均収入がどれくらいあるのか見ていきましょう。
総務省統計局の同資料によると、65歳以上の単身無職世帯の平均収入は、実収入「12万6905円」で、可処分所得は、「11万4663円」でした。
実収入「12万6905円」の内訳は、以下の項目です。
・事業・内職収入:973円
・他の経常収入:12万1095円
・社会保障給付:11万8230円
・仕送り金:838円
可処分所得とは、実収入から税金や社会保険料などを差し引いた金額で、実際に生活費として使えるお金のことです。65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月の収支を見ると、可処分所得の「11万4663円」に対して、平均消費支出が「14万5430円」なので、毎月の生活費が「3万767円」足りていないことになります。
定年後に必要な貯蓄
65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月の平均消費支出「14万5430円」を基準に、老後期間を35年(65~100歳)と仮定して単純に計算した場合、年間では「174万5160円」、35年では「6108万600円」の貯蓄が必要です。
ただしこの金額には、年金収入や老後の介護や医療費の支出、今後の物価変動の影響などは含まれていません。老後期間を踏まえ、個人の生活水準やライフスタイルに合わせたシミュレーションが必要です。
老後に貯蓄が底をついて破産してしまう世帯もいるため、老後破産の対処法についても把握しておいたほうがいいでしょう。
老後破産の対処法
老後破産になる主な原因は、以下のケースが挙げられます。
・住宅ローンの返済が残っている
・生活水準の見直しができていない
・子どもの教育費の負担が大きい
・高額な出費が発生する
・医療費・介護費の負担が増える
・資産運用がうまくいかない
まず、老後破産の対処法として手を付けるべきなのは家計の見直しです。節約できるところを見つけて改善し、老後の資金であることを意識した貯蓄をすることが大切です。また、定年後も働いたり、医療費や介護費の負担を軽減したりするためにも、健康的なライフスタイルを心がけてください。
定年後も健康で働くことができれば、年金の受給開始年齢を65歳より遅らせる「繰下げ受給」にすることで、年金の総受給額を増やすことができます。いずれにせよ、老後破産を回避するためには、問題を先延ばしにせずに早めに対策を考える必要があるでしょう。
老後のお金は計画的に準備しよう
老後の生活費をシミュレーションするために、65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月の平均消費支出「14万5430円」を基準にすると、100歳までに6000万円以上が必要であることが分かりました。
定年前からできる対策としては、家計を見直して長い老後生活に備えた貯蓄をすること、定年後も働けるように健康的な生活を意識することです。具体的な貯蓄額については、個人のライフスタイルに合わせて検討しましょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要(19ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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