「貯金1000万円」の我が家。退職金の「1000万円」は多少のリスクを冒しても「投資」にまわすべきでしょうか?
今回の事例においても、「貯金1000万円」のご家庭が、多少のリスクがあっても退職金「1000万円」を投資にまわすべきか悩まれています。
本記事では、退職金を投資にまわすべきなのか、平均寿命から見た老後の期間を参考に検証します。
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「退職金」は「投資」にまわすのもひとつの選択
退職金を投資にまわすことは、重要な選択肢のひとつです。昨今、医療技術の進歩や充実した社会保障制度などにより「人生100年時代」といわれるまで平均寿命が伸びている傾向にあります。
厚生労働省が発表した「令和5年簡易生命表の概況」によると、平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳であり、そのうち22歳から60歳までの40年ほど就職しているのが一般的です。
したがって、退職後は20年以上の老後生活があると想定されます。この期間中は、年金や退職金などで生活費を賄う必要があり、一般的には収入が減少するため、退職前と同じ生活を維持できない恐れもあります。退職金を取り崩して投資・運用することで、資産の目減りするペースを遅らせることができるかもしれません。
「リスク許容度」に応じてポートフォリオを考える
退職金を長期運用する方法のひとつとして「投資信託」が挙げられます。投資信託とは、投資家から集めた資金をプロが運用して、得た利益を投資家に分配する投資商品です。
運用がうまくいって利益を得られることもあれば、逆に損をしてしまうリスクもあります。リスクを考えずに投資してしまうと、老後の資金が減ってしまう恐れがあるため、リスク許容度を考慮してポートフォリオ(どの程度の配分で金融商品の銘柄へ投資するかの組み合わせ)を考えることが重要です。
老後資金の大部分を占める可能性の高い使い道として、介護費用の貯金は欠かせません。介護費用は、一般的には500万円以上かかるともいわれています。貯金と退職金を合わせた資産の総額とともに、今後使う可能性のあるリフォーム費や医療費などを考慮することで、リスク許容度が見えてきます。
リスク許容度が高い場合、資金を大きく増やすポートフォリオを考えてもよいかもしれません。一方、リスク許容度が低い場合は、運用リターンにはあまり期待できませんが、リスクを抑えたポートフォリオを考えましょう。
退職金を「年金」で受け取るのもひとつの方法
退職金の受け取り方として、「一時金」「年金」「両制度併用」が挙げられます。それぞれの特徴やメリットを表1にまとめました。
表1
| 項目 | 一時金 | 年金 | 両制度併用 |
|---|---|---|---|
| 特徴 | 退職時に全額を一括で受け取る | 分割して定期的に受け取る | 一部を一時金、 残りを年金として受け取る |
| メリット | ・退職所得控除が利用できる ・社会保険料がかからない |
・運用益が上乗せされるため 受取総額が増える可能性がある ・無駄遣いをしづらい ・公的年金等控除が利用できる |
・一時金で受け取った分は退職所得控除、 年金部分は公的年金等控除の対象となる |
※筆者作成
退職金を年金として受け取ることで、未受け取り部分の退職金の運用益が上乗せされ、最終的な受取総額が増える可能性があります。
しかし、毎年受け取る退職年金は、雑所得として計上されるため、他の所得と合わせると税金や社会保険料が高くなる場合があるかもしれません。税金の負担を抑えるためには、老後の働き方などを考慮して退職金の受け取り方を選択することが重要です。
まとめ
退職金を投資・運用することで、老後の資金を増やせる可能性があります。ただし、投資は必ず収益が生まれるわけではないため、どのくらいリスクを受け入れられるかが重要です。リスク許容度は運用に使える金額だけでなく、投資者のスタンスによっても異なるため、予想される収支から自分に合った投資を考えましょう。
出典
厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況 結果の概要 1 主な年齢の平均余命
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー