「東京都」と「福岡県」、老後に働くならどちらがお得?賃金水準と生活コストで比較
しかし、大都市圏と地方では賃金水準も異なる、という側面もあります。例えば、「東京都」と「福岡県」、老後に働くならどちらがお得なのでしょうか。
今回は賃金水準と生活コストにフォーカスして比較してみたいと思います。
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目次
東京都は福岡県より平均で「年間100万円~200万円程度」収入が多い
まずは賃金水準の違いをみていきましょう。総務省統計局の「2019年全国家計構造調査」によると、東京都における勤労者世帯の勤め先収入は表1のようになっています。
表1
| 世帯主の年齢階級 | 1世帯あたり年間収入額(勤め先収入) |
|---|---|
| 60~64歳 | 585万8000円 |
| 65~69歳 | 392万8000円 |
| 70~74歳 | 386万3000円 |
出典:総務省統計局「2019年全国家計構造調査」を基に筆者作成
一方、福岡県における勤労者世帯の勤め先収入は表2のような結果となりました。
表2
| 世帯主の年齢階級 | 1世帯あたり年間収入額(勤め先収入) |
|---|---|
| 60~64歳 | 483万2000円 |
| 65~69歳 | 288万8000円 |
| 70~74歳 | 191万4000円 |
出典:総務省統計局「2019年全国家計構造調査」を基に筆者作成
表1・表2の結果より、60代で年間100万円程度、70代前半で年間200万円程度、東京都は福岡県より賃金水準が高い可能性があることが分かりました。ちなみに厚生労働省によれば、令和6年度の地域別最低賃金は東京都が1163円、福岡県が992円となっています。
福岡県は東京都より平均で「月1万5000円~6万円程度」消費支出が少ない
続いては、地域別の消費支出に着目し、生活コストの違いをみていきましょう。前述の総務省統計局「2019年全国家計構造調査」によると、東京都における1世帯ひと月あたりの消費支出は表3のようになっています。
表3
| 世帯主の年齢階級 | 消費支出 |
|---|---|
| 60~64歳 | 30万6507円 |
| 65~69歳 | 24万7815円 |
| 70~74歳 | 25万2255円 |
出典:総務省統計局「2019年全国家計構造調査」を基に筆者作成
一方、福岡県における1世帯ひと月あたりの消費支出は表4のような結果となりました。
表4
| 世帯主の年齢階級 | 消費支出 |
|---|---|
| 60~64歳 | 24万9053円 |
| 65~69歳 | 21万9248円 |
| 70~74歳 | 23万7362円 |
出典:総務省統計局「2019年全国家計構造調査」を基に筆者作成
表3・表4の結果より、60代前半で6万円程度、60代後半で3万円程度、70代前半で1万5000円程度、東京都は福岡県よりひと月あたりの生活コストが高いことが分かりました。消費支出の10大費目を確認してみると、食料品や住居費のコストが東京都は福岡県より高い可能性があるようです。
家計収支を考えると「東京都」で働いた方がお得となる可能性
最後に、東京都と福岡県の家計収支をみてみましょう。東京都における年間の家計収支は表5のようになっています。
表5
| 世帯主の年齢階級 | 60~64歳 | 65~69歳 | 70~74歳 |
|---|---|---|---|
| 年間収入(勤め先収入) | 585万8000円 | 392万8000円 | 386万3000円 |
| 年間消費支出 | 367万8084円 | 297万3780円 | 302万7060円 |
| 年間の家計収支 | +217万9916円 | +95万4220円 | +83万5940円 |
※筆者作成
一方、福岡県における年間の家計収支は表6のような結果となりました。
表6
| 世帯主の年齢階級 | 60~64歳 | 65~69歳 | 70~74歳 |
|---|---|---|---|
| 年間収入(勤め先収入) | 483万2000円 | 288万8000円 | 191万4000円 |
| 年間消費支出 | 298万8636円 | 263万976円 | 284万8344円 |
| 年間の家計収支 | +184万3364円 | +25万7024円 | -93万4344円 |
※筆者作成
表5・表6の結果より、60代前半で30万円程度、60代後半で70万円程度、70代前半で180万円程度、東京都で働いた方がお得な可能性があるようです。
まとめ
今回は東京都と福岡県を例に挙げ、大都市圏と地方の賃金水準と生活コストについて解説しました。あくまで統計表に基づく試算ではありますが、物価や賃料の高騰で生活コストは高いものの、その分賃金水準も高い傾向にあるため、家計収支でみると老後は大都市圏で働いた方がお得な可能性があるようです。
出典
e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 全国家計構造調査(旧全国消費実態調査)/2019年全国家計構造調査/2019年全国家計構造調査 都道府県,県内経済圏,15万以上市別 東京都 所得に関する結果[所得資産集計]
e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 全国家計構造調査(旧全国消費実態調査)/2019年全国家計構造調査/2019年全国家計構造調査 都道府県,県内経済圏,15万以上市別 福岡県 所得に関する結果[所得資産集計]
e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 全国家計構造調査(旧全国消費実態調査)/2019年全国家計構造調査/2019年全国家計構造調査 都道府県,県内経済圏,15万以上市別 東京都 家計収支に関する結果[家計総合集計]
e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 全国家計構造調査(旧全国消費実態調査)/2019年全国家計構造調査/2019年全国家計構造調査 都道府県,県内経済圏,15万以上市別 福岡県 家計収支に関する結果[家計総合集計]
厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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