70代の母が「介護施設のパンフレット」を集めているようですが、入所するには費用はどのくらい必要なのでしょうか?
そう思ったときに、多くの人がまず気になるのが「費用はどのくらいかかるの? 」という点です。介護施設にはさまざまな種類があり、入居時の費用、月々の支払い、さらには介護サービスの内容まで施設によって大きく異なります。
この記事では、介護施設の種類ごとの費用相場や、実際にどこまでが自己負担になるのか、公的支援制度の活用法まで、初めての方にもわかりやすく解説します。将来に備えて、ぜひ参考にしてください。
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目次
介護施設にはどんな種類がある? 特徴と向いている人を整理
「介護施設」といっても、実は目的や介護の重さによって複数の種類があります。それぞれの施設には特徴があり、どんな人に向いているかも異なります。
・特別養護老人ホーム(特養)
公的な施設で、費用が比較的安く済みます。要介護3以上の高齢者が対象で、重度の介護が必要な方に向いています。人気が高いため、地域によっては入居待ちが1年以上ということもあります。
・介護付き有料老人ホーム
民間施設で、介護職員が常駐しています。介護体制が整っており、比較的自由な生活をしながら、必要な介護を受けたい方におすすめです。費用は高めですが、その分サービスも充実しています。
・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
主に自立~軽度の要介護状態の高齢者が対象。見守りや生活支援が中心で、介護が必要な場合は外部の介護サービスを個別に契約します。バリアフリー設計や緊急通報装置などの設備が整っており、自宅に近い感覚で暮らせます。
また、親が何歳になったら入居を検討するかも悩みどころです。老人ホーム検索・入居相談サービスを展開している株式会社プランドゥのアンケート調査によると、介護施設への入居を検討した年齢は85歳~89歳が最も多く、中央値は86歳でした。それぞれの施設が持つ役割を理解して、本人の身体状況や希望に合った施設を選ぶことが大切です。
費用はいくら?介護施設の種類別に相場を解説
介護施設にかかる費用は、「入居一時金」と「月額費用」に分かれます。表1はは各施設の一般的な相場です。
【表1】
| 施設 | 入居一時金 | 月額費用 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム (特養) |
不要 | 約5~15万円 (家賃、食費、介護保険の 自己負担などを含む) |
安価で長期入居が可能だが、要介護3以上が必要で入居待ちも多い |
| 介護付き有料老人ホーム | 0円~数百万円 (施設によっては 1000万円以上の場合もあり) |
約15~30万円 | 手厚い介護と自由な生活が可能。 費用が高いため経済的な準備が必要 |
| サービス付き高齢者向け住宅 (サ高住) |
0~数十万円程度 | 約10~25万円 | 自立した生活を維持したい人に向いており、介護サービスは別契約 |
筆者作成
たとえば、介護付き有料老人ホームに入居して5年間過ごす場合、トータルで1000万~2000万円以上かかることもあります。施設ごとに費用体系は異なるため、パンフレットだけでなく見学時に詳細を確認することが重要です。
自己負担を減らす公的制度とは? 介護保険と減免制度の活用法
介護施設の費用には、公的な介護保険制度や各種の支援制度を利用することで、自己負担を軽くする方法があります。
・介護保険制度の利用
介護サービス費の1割(所得により2~3割)が自己負担になります。施設によっては、介護保険外の費用も発生するため、その内訳も要確認です。
・高額介護サービス費制度
1ヶ月に支払った自己負担額が一定額を超えた場合、その超過分が払い戻される制度です。所得によって上限額が決まっています。
・負担限度額認定制度
所得や資産が少ない高齢者には、「食費」や「居住費(部屋代)」の軽減措置があります。これは市区町村に申請して「認定証」を取得する必要があります。
施設選びは費用とサービス内容のバランスが大切
介護施設の費用は、種類やサービス内容によって大きく差があります。費用が安ければいいというわけではなく、本人の介護状態や生活スタイルに合っているかも重要な判断ポイントです。また、介護保険制度や減免措置を上手に活用することで、自己負担を大きく減らせます。家族で話しあって後悔のない選択を目指しましょう。
出典
株式会社プランドゥ 老人ホーム入居理由に関するアンケート調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー