年金生活になっても「賃貸住宅」は借りられる? 65歳で退職した後、入居審査はどうなる?
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65歳以上の入居審査が通りにくい理由
65歳で退職した後でも、入居審査に通る可能性は十分にあります。しかし、収入源や保証人の有無、資産状況、事故のリスクなどが考慮されるため、若い世代に比べると審査が厳しくなる傾向があります。
本章では、65歳以上の方が入居審査に通りにくい主な理由を、3つのポイントに分けて解説します。
金銭面・健康面のリスク
賃貸物件のオーナーにとって重要なのは、継続的に家賃を支払ってもらえるかどうかです。一般的に入居者は、給与収入を家賃の支払いに充てます。したがって、会社に勤めているかぎりは継続的に家賃を支払えるため、家賃滞納のリスクも少ないと考えられます。
一方で、65歳で退職した場合、家賃の支払いは年金や貯蓄に頼ることになります。そのため、安定性に不安を感じるオーナーが多いことが、審査が厳しくなる理由の一つです。
また、万が一借り主が室内で亡くなった場合、その物件が「事故物件」として扱われる可能性があります。近年は元気な高齢者が増えているものの、若年層に比べて健康上のリスクが高いとされることから、入居審査が通りにくい傾向があるのです。
連帯保証人をどうするか
賃貸物件を借りる場合、多くのケースで連帯保証人を立てる必要があります。連帯保証人とは入居者とほぼ同じ義務を負う保証人のことであり、入居者が家賃の滞納や契約違反をした場合、代わりにその責任を負う立場です。
高齢者の場合、家族に頼めないなどの理由から連帯保証人を立てにくいケースが多いため、連帯保証人を代行してくれる「家賃保証会社」の利用が求められることがあります。しかし、その家賃保証会社の審査は厳しい場合があり、審査が通らないと賃貸物件を借りにくくなることがあります。
孤独死・事故のリスク
高齢者は若い世代と比べると、どうしても物件内での事故や孤独死のリスクが高いと判断されやすいです。前述のとおり、万が一室内で事故や孤独死があった物件は「事故物件」として扱われる可能性があります。事故物件となった場合は新たな入居者が見つかりにくくなるリスクもあるため、オーナーとしては慎重にならざるを得ないでしょう。
なお、高齢者に多い事故としては、キッチンコンロなど火の不始末による火災が挙げられます。
65歳以上の人が賃貸物件を借りるポイント
本章では、会社を退職した65歳以上の人が安心して暮らせる賃貸物件を借りるために、賃貸物件を借りる3つのポイントを紹介します。
家賃債務保証を利用する
家賃債務保証とは入居希望者が賃貸物件を借りやすくするための制度で、保証会社が入居者の連帯保証人に近い役割を果たします。家賃債務保証を利用することで連帯保証人がいない場合でも契約しやすくなりますが、保証会社による審査があります。
審査は公正に行われるため、基準を満たさない場合は通過できないこともあります。過去に滞納履歴がある方や、支払い能力に不安があると判断された場合は、審査に通らない可能性があるため注意が必要です。
高齢者向け賃貸住宅を探す
高齢者向け賃貸住宅とは、高齢者が契約しやすいように配慮された物件を指します。UR都市機構などが設置・運営しており、「60歳以上の単身者または夫婦・親族」「施設のある都道府県に在住あるいは在勤していること」が基本条件です。
収入が一定基準以下の場合は、国や自治体から最大で家賃40%程度の補助を受けられる制度もありますが、補助の有無や割合は地域や制度によって異なります。地域によっては申込者が多く、抽選の倍率が高くなる傾向があるため注意が必要です。
家族・親族に相談して連帯保証人になってもらう
近くに頼れる家族や親族がいれば、賃貸物件を借りる予定を伝え、連帯保証人になってもらうことを検討しましょう。また、孤独死のリスクを軽減するためにも、緊急連絡先として登録してもらうことも有効です。
高齢者の賃貸探しは諦めず、さまざまな方法で探してみよう
65歳以上で退職後の高齢者でも、金銭面や健康面、連帯保証人などをしっかりと証明できれば入居審査に通る可能性は十分にあります。ただし、年齢が上がるほど審査が厳しくなる傾向があるため、事前の準備が重要です。連帯保証人が立てられない場合は、家賃債務保証について相談してみましょう。
また、高齢者向けの賃貸住宅であれば、一般の賃貸物件よりも借りやすいため、検討の価値があります。「借りられないかもしれない」と諦めずに、自身に適した方法を探してみてください。
出典
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 家賃債務保証事業者協議会
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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