更新日: 2019.06.28 セカンドライフ
不安の共通点は、「分からないこと」 老後の不安を解消できるツール
「将来、貯蓄がなくなってしまうのではないだろうか」「老後は、年金だけで暮らせるのだろうか」「いったい、いつまで働けばいいのだろうか」など、老後のお金の不安を抱える方が増えています。
なぜ、人は老後に不安を感じるのでしょうか。今回は、そんな老後の不安について考えてみたいと思います。
佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー
立命館大学卒業後、13年間大手小売業の販売業務に従事した後、保険会社に転職。1 年間保険会社に勤務後、保険代理店に6 年間勤務。
その後、コンサルティング料だけで活動している独立系ファイナンシャルプランナーと出会い「本当の意味で顧客本位の仕事ができ、大きな価値が提供できる仕事はこれだ」と思い、独立する。
現在は、日本FP協会佐賀支部の副支部長として、消費者向けのイベントや個別相談などで活動している。また、佐賀県金融広報アドバイザーとして消費者トラブルや金融教育など啓発活動にも従事している。
不安の共通点は、「分からないこと」
100歳まで生きると仮定した場合、明らかにしなければならないことは、「お金が足りるかどうか」です。
不安の最大の要因は、「分からないこと」にあります。「何とかなるだろう」と楽観視するのは問題ですが、過剰に不安を感じ、思考停止するのもまた問題です。
では、何から始めればいいのでしょうか。この問題を解決する手段が、ライフプランニングです。そして、その際に重要になるのが「キャッシュフロー(お金の流れ)」を見ることです。
キャッシュフロー表は未来の家計簿
皆さんは、「キャッシュフロー表」という言葉を聞いたことがありますか?
キャッシュフロー表(以下CF表)は、将来、皆さんのお金がどのように変化していくかを見ることができるとても大切なツールです。
まさに、「未来の家計簿」と言えるでしょう。CF表を作成することで、何が問題かを明らかにすることができます。CF表は、日本FP協会のHPからダウンロードすることもできます。
「未来のことなんか分からないよ」という声もあるかもしれません。確かに、経済や社会の情勢などは、自分ではコントロールできません。
ただ、自分でコントロールできることや、自分がこだわっていること(趣味や娯楽)などを数字にして、CF表に落とし込んでみる。そして、自分だけのCF表を作成することで、次の行動の指針になるはずです。
資金がショートしたらどうしたらいいの?
CF表を作成したときに、将来の資金が枯渇している場合があります。その場合は、いま、何か手を打たなければなりません。ここからは、その対策と注意点について考えてみましょう。
まずは、次の5つの項目をチェックしてみてください。
(1)定年後の収入について
・いつまで働くか?
・どのように働くか?(再雇用? 転職? 起業?)
・どのくらいの収入を得ればいいか?
(2)年金について
・受け取る年金を繰り下げできないか?
・繰り下げた場合、いくら年金額が増えるか?
・繰り下げた場合のデメリットは何か?
(3)保障について
・死亡保障の保険金額は適正か?
・医療保障は本当に必要か?
・保障の見直しで将来いくら保険料を削減できるか?
(4)運用について
・いつまでにいくらの資金が必要か?
・投資に回せる資金はどのくらいか?
・どのくらいの損失は許容できるか?
(5)生活費について
・変動費と固定費の違いを把握しているか?
・「必要なもの」と「欲しいもの」を区分しているか?
・固定費の見直しは済んでいるか?
老後のお金の不安を解消するためには、「分からない」を「分かる」ようにする必要があります。CF表を作成して、何が問題か「分かる」ことで、対策を考えることができます。
対策に必要な5つの項目は、どれか1つだけ手を打つのではなく、5つの項目全体を最適にすることで効果が出てきます。ぜひ、ご自身でCF表を作成し、実感してみてください。老後の不安が解消されるかもしれません。
執筆者:廣重啓二郎(ひろしげ けいじろう)
ファイナンシャルプランナー、DCアドバイザー、相続支援士