来年定年を迎え「退職金2000万円」を受け取る予定です。退職金に「所得税」がかかると「手取り」はいくらくらいになりそうですか?

配信日: 2025.06.12 更新日: 2025.10.21
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来年定年を迎え「退職金2000万円」を受け取る予定です。退職金に「所得税」がかかると「手取り」はいくらくらいになりそうですか?
退職後の生活設計に大きく関わる退職金ですが、受け取る際にどの程度所得税が引かれるのか、「手取り」の金額をより正確に知りたい方も多いでしょう。そこで本記事では、勤続30年の場合における退職金の平均支給額を紹介し、退職所得控除額について解説します。また、退職金が2000万円だった場合の手取りがいくらになるかも算出します。
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大学卒の満勤勤続で退職金は「平均2230万4000円」

厚生労働省中央労働委員会の調査によると、退職金の平均は以下の通りです。

・定年退職の平均退職金額:1872万9000円
 
・大学卒で満勤勤続の場合の平均退職金額(男性):2230万4000円

例えば勤続年数が30年間の場合は「1500万円」まで所得税や住民税がかからない

退職金にかかる税金は、退職所得控除が適用され、負担が軽減するように配慮されています。
 
ただし、適用を受けるためには退職金の支払いを受けるまでに勤務先に対して「退職所得の受給に関する申告書」の提出が必要です。これにより、源泉徴収だけで所得税などの課税関係が終了し、確定申告をせずに完結します。なお、退職所得控除額の計算式は以下の通りです。

・勤続年数20年以下の退職所得控除額:40万円×勤続年数
 
・勤続年数20年超の退職所得控除額:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

また、所得税や住民税といった税金は、以下の式で算出された退職所得に対して課税されます。

・課税退職所得=(収入金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除額)×1/2

勤続年数が30年で退職金を2000万円受け取った場合は、以下の式の通りとなり1500万円までは、所得税や住民税がかからないことになります。

・退職所得控除額:800万円+70万円×(30年-20年)=1500万円
 
・課税退職所得:(2000万円-1500万円)÷2=250万円

以上より、このケースで最終的に所得税・住民税の課税対象となるのは250万円です。退職金の額面2000万円と比べて8分の1程度の金額であり、適用により大幅に負担が軽減されることが分かります。
 

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「2000万円」の退職金を受け取った場合の手取りは「1959万4298円」

ここでは、勤続30年で退職金を2000万円受け取った場合の手取りを計算します。前述した通り、課税退職所得金額は250万円ですので、所得税は以下の計算式で算出できます。

・所得税:課税退職所得250万円×税率10%-9万7500円=15万2500円
 
・所得税+復興特別所得税:15万2500円+(所得税額15万2500円×税率2.1%)=15万5702円

次に住民税を算出します。なお、退職所得にかかる住民税については、均等割は課税されません。

・住民税:課税退職所得250万円×税率10%=25万円

したがって手取り金額は以下の通りとなります。

・手取り金額:2000万円-15万5702円-25万円=1959万4298円

まとめ

退職金額を2000万円と仮定した場合、退職所得控除を適用後の手取りは1960万円程度になると想定されます。
 
退職金にかかる税金は「退職所得の受給に関する申告書」を提出することで、勤続年数が長いほど控除される金額が多くなる「退職所得控除」が適用可能であり、税負担が軽減するように配慮されているためです。申告書を勤務先に提出しなかった場合は、退職金から一律20.42%(復興特別所得税を含む)が源泉徴収されてしまうので注意しましょう。
 

出典

厚生労働省中央労働委員会 令和3年賃金事情等総合調査(確報)
国税庁 退職金と税
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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