先月「1000万円の退職金」を受け取りました。退職金以外の貯金も「1000万円程度」なのですが、「退職金」は運用にまわすべきでしょうか?

配信日: 2025.06.21 更新日: 2025.10.21
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先月「1000万円の退職金」を受け取りました。退職金以外の貯金も「1000万円程度」なのですが、「退職金」は運用にまわすべきでしょうか?
人生100年時代といわれる昨今、老後の生活設計は年金だけでなく、退職金などの運用を含めて検討すべきか悩むところかもしれません。退職された方の中には、退職金の運用に関して慎重に検討している方も多いでしょう。
 
そこで本記事では、退職金の使い方や老後の生活の平均的な家計収支、そして退職金を運用にまわす際のポイントについて解説します。
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退職金を運用にまわしている方は「約47%」

アドバイザーナビ株式会社が、55歳以上で退職した方限定で実施した「2023年版 退職金に関するアンケート」を基に、普段あまり詳しく知る機会のない退職金の使い方を見てみましょう。
 

・退職金の金額について

「1000万円未満」が38.9%と最も多く、次いで「1000万円~2000万円」が33.6%でした。全体の70%超が2000万円未満となっています。
 

・現在の金融資産金額について

「1000万円未満」が35.4%、次いで「1000万円~2000万円未満」が22.1%でした。全体の50%超が金融資産額2000万円未満です。
 

・退職金をどうしているかについて

一部を運用していると回答した方が39.8%と最も多く、次いで全額預金していると回答した方が38.9%です。全額運用していると回答した方も7.1%いることから、退職金を一部または全額運用にまわしている方は全体の約47%となります。
 

貯金「1000万円」だけで「老後の生活」を維持するのは難しい可能性も

ここでは、総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」から、老後の家計収支を紹介します。65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月の家計収支は以下の通りです。


・実収入:25万2818円(社会保障給付+その他)
・非消費支出:3万356円(税金や社会保険料など)
・可処分所得:25万2818円-3万356円=22万2462円
・消費支出:25万6521円
・可処分所得と消費支出の差額(不足分):マイナス3万4058円

上記より、平均的な家計収支では毎月3万4058円不足する計算となります。老後30年の場合、老後資金が「3万4058円×12ヶ月×30年=1226万880円」必要となります。
 
したがって、退職金以外の貯金が1000万円程度である場合、仮に退職金を全額運用にまわしてしまうと、貯金だけで老後の生活を維持するのは難しいケースもあると考えたほうがよいでしょう。
 

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豊かな老後に向けて退職金の「運用」もひとつの選択

前述のアドバイザーナビ株式会社の「退職金に関するアンケート」では、退職金を一部運用または全額運用していると回答した方のうち、64.2%が投資信託で、次いで日本株式が54.7%となっています。
 
運用にあたっては、リスク許容度に応じた適切な商品選択が必要です。リスク許容度とは、資産を運用する際に、価格変動や損失を心理的・経済的にどの程度まで受け入れられるかの度合いを指します。
 
今回のケースでは退職金とは別に貯金が1000万円程度あるとのことですが、前章で試算したように、平均的な家計収支の場合、毎月発生する赤字を貯金で補う必要があるでしょう。
 
退職金の積極運用も選択肢のひとつとして検討してもよいかもしれませんが、毎月の家計収支を事前にしっかりとシミュレーションし、あくまで余剰資金で行うことが大切です。
 

まとめ

退職金を、老後の重要な資金源と考える方は多いといえます。今回の試算では、平均的な家計収支で老後30年間生活した場合、1226万880円の資金が必要という結果になりました。ただし、これはあくまでも目安であり実際必要となる金額はそれぞれの家庭によって変動します。
 
老後にかかるお金の不安を払拭し、安定した生活基盤を築くためには、リスク許容度に見合った退職金の運用も選択肢のひとつとして検討してもよいかもしれません。その際、毎月の家計収支を事前にしっかりとシミュレーションすることが大切です。
 

出典

アドバイザーナビ株式会社 資産運用ナビ【2023年版】退職金に関するアンケート 退職金の使い方とは
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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