一人暮らしの母が「年金月8万円」で生活しています。支出が年金を超えていないか心配です…高齢者の平均支出はいくらなのでしょうか？

「うちの母、年金が月8万円だけで暮らしているけれど、大丈夫なんだろうか…？ 」
 
そんな不安を抱える方は多いのではないでしょうか。高齢の親が一人暮らしで年金生活を送っていると、支出が年金額を超えていないか心配になりますよね。
 
実際のところ、高齢者の一人暮らしに必要な生活費はどれくらいなのでしょうか？ 年金だけで足りない場合、どんな対策があるのでしょうか？
 
この記事では、高齢者の平均的な支出額や収支の現状、そして足りない場合に取れる現実的な方法まで、具体的なデータと共にわかりやすく解説します。お母さまの生活を守るヒントとして、ぜひ参考にしてください。

一人暮らし高齢者の生活費はどれくらい？ 平均支出をチェック

高齢の親を支える立場として、「本当に年金だけで生活できているのだろうか」と不安になる方は少なくありません。とくに一人暮らしとなると、支出のすべてを年金で賄う必要があります。
 
総務省の家計調査（2023年）によると、65歳以上の単身世帯における1ヶ月の平均支出は、以下の通りです。
 

・消費支出
14万9286円
 
・非消費支出（税金や社会保険料など）
1万2647円
 
合計　16万1933円

 
この金額は、食費・光熱費・医療費・通信費・交際費などを含めた現実的な生活費です。つまり、年金が月8万円だと、およそ8万円支出が上回ることになります。

 

年金8万円ではどれだけ不足？ 収支差とその現実

年金月8万円では、平均支出との差額が大きくなります。
 

・月の不足額
約8万円
 
・年間の不足額
約96万円
 
・10年続くと
約960万円の赤字

 
もちろん、生活スタイルや地域によって支出額は変わります。持ち家か賃貸か、医療費の頻度、交際の有無なども大きく影響します。しかし、平均的な生活を維持するためには、年金だけでは明らかに足りないのが現状です。

 

支出が足りない時の現実的な対策とは？

年金だけでは不十分でも、工夫や支援制度を活用することで、安心した生活は十分に可能です。以下にいくつかの現実的な対策を紹介します。
 

【支出を抑える工夫】

・食費の節約
特売日やまとめ買いを活用。冷凍保存でロスを防止。
 
・光熱費の見直し
エアコン使用を最適化し、LED照明や断熱カーテンを導入。
 
・通信費の削減
スマホは格安SIMに変更、不要なオプションはカット。

 

【収入を補う方法】

・シルバー人材センターの活用
短時間の軽作業など、無理なく働ける仕事が紹介されます。
 
・年金の繰り下げ受給（65歳以降）
1年繰り下げるごとに年金額が8.4%増加します（最大70歳まで可能）。
 
・資産の見直し
不要な保険や定期預金を見直し、流動資産にするのも一つの方法です。

 

【公的支援制度をフル活用】

・生活保護（老齢加算あり）
年金だけで生活が困難な場合は、条件に応じて支給されます。
 
・高額療養費制度
医療費が一定額を超えた場合、その超過分が後日返還されます。
 
・介護保険サービス
訪問介護やデイサービスなど、介護負担を軽減できます。
 
・各自治体の福祉制度
自治体独自の医療助成や家賃補助など、地域によって支援が異なります。

 

年金8万円でも、備えと工夫で安心した老後を

年金月8万円という金額では、一般的な生活費には明らかに不足しています。しかし、あきらめる必要はありません。節約と収入補填の工夫、そして公的な支援制度を正しく活用すれば、生活の質を保ちながら過ごすことも可能です。
 
「母にもっと楽をさせてあげたい」と思う気持ちはとても自然で大切なこと。その思いを支えるためにも、まずはご家庭の状況を見直し、公的機関や地域包括支援センターに相談するところから始めてみましょう。早めの対策が、お母さんにとっても家族にとっても、心にゆとりのある未来につながります。

 

出典

総務省　家計調査報告（家計収支編）2024年（令和6年）平均結果の概要
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー