老後は趣味や旅行を楽しみたいです。毎月「20万円」くらい生活費があればよいですか?
この記事では、老後の理想的な生活費の目安と、それを実現するための資金計画について解説します。
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
老後必要と考えられる生活費の目安
公益財団法人生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦2人の老後生活に必要と考える最低限の生活費は、平均で「月額23万2000円」となっています。
ただし、これはあくまでも平均値です。分布を見てみると、20万円から25万円未満の生活費が必要と答えた層は一番多いものの、全体の27.5%にとどまっています。次いで多いのが30万円から40万円未満と答えた層で、全体の18.8%です。40万円以上必要と答えた層も2.8%と少数ですが存在しており、その一方で15万円未満と回答している層も存在しています。
老後の生活費について考える場合、アンケートや統計の結果はあくまでも参考程度にとどめておくべきでしょう。
趣味や旅行を楽しむための追加費用を含めた、ゆとりある老後生活費
続いて、趣味や旅行を楽しむための上乗せ分を含めた、ゆとりある生活費の平均を見てみましょう。
同調査によれば、こちらの平均額は、最低限の生活費から15万円近く上昇し、37万9000円となっています。ただし、最頻値を見ると30万円から35万円未満で、全体の20.5%となっています。
一方で、50万円以上と答えた層は18.0%であり、30万円から35万円未満と答えた方とさほど変わらない割合となっています。また、最も多いのは「わからない」と答えた層で、全体の22.5%となっています。
ここから、ゆとりある老後生活を楽しむために必要となる費用については、上を見ればキリがなく、人によってはかなり高額になることも予想されます。
退職金や親からの相続で多くのお金を手にした方や、老後に向けて若い頃から計画的に蓄財していた方でもなければ、老後にお金を気にせず趣味や旅行を満喫するというのは難しいのかもしれません。
現実的には、貯蓄と収支をシミュレーションし、余剰資金の範囲内で楽しむこととなるでしょう。
老後を楽しむためにゆとりある生活費を確保するための対策
多くの方が、老後を楽しむための生活費をどうにかして少しでも多く確保したい、と考えるのではないでしょうか。
老後資金の準備には、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)を活用することも有効です。
どちらも長期での資産形成に向いた制度であり、貯金よりも効果的に資産形成が可能です。
加えて、現在の生活費を見直し、老後に向けた貯金や資産形成に回せるお金を増やしていくことも大切です。例えば、通信費や保険料を見直して節約することや、生活コストの低いエリアに住む選択肢も検討することなどが有効だと考えられます。
また、近年では、老後にシニア向けの仕事や副業を続ける人も増えています。「老後も働き続け、収入を得ながら趣味や旅行を楽しむ」という考え方も持っておくことで、より老後の選択肢を増やすことができるでしょう。
まとめ
老後にゆとりある生活を送るためには、毎月38万円程度の生活費が必要と考えられているようです。しかし、公的年金だけではこれだけの金額を用意することは難しく、老後資金が不足すると想定されるため、理想と現実を切り分けて考えていくことが必要です。
現役時代からiDeCoやNISAを活用した資産形成を行うことや、老後に向けて生活費の見直しをしていくことで、理想の老後により近づくことができるでしょう。
趣味や旅行を楽しめる充実した老後を迎えるためにも、今から計画を立て、備えていくことをおすすめいたします。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査 第III章 老後保障 2.老後生活に対する意識 (2)老後の最低日常生活費(109ページ)、(3)老後のゆとりのための上乗せ額(111ページ)、(5) ゆとりある老後生活費(115ページ)
執筆者 : 柘植輝
行政書士