貯金300万円・独身40歳の息子が心配です。年金月15万円の私が、毎月「3万円」を援助するのはやりすぎでしょうか?
本記事では、家計状況や援助の妥当性などについて検討します。
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
家計状況をふまえた無理のない援助が大切
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯における1ヶ月の平均支出額(消費支出+非消費支出)は約16万円です。この支出額から考えると、年金が月15万円というのは、十分とは言い難く、生活費を節約したり、貯金を切り崩したりして日々奮闘されているのではないでしょうか。
その上で「毎月3万円の援助」というのは、基本的にやりすぎといえるでしょう。なにしろ年金収入の20%を息子さんへ回す計算です。
よほど貯蓄の額が大きく余裕がある、あるいは仕事をしていて年金がなくとも生活できるなど、特段の事情がない限り、生活費や医療費を負担するご自身の将来を考えると、その支援額は高いと言わざるを得ないでしょう。
息子さん(独身・40歳・貯金300万円)の経済状態
40代独身で貯金300万円という金額は、正直なところ、少ないといえるでしょう。家を買ったりするには心もとない貯蓄額ですし、それどころか、体調を崩して1年間の療養が必要になったら……などと、万が一のことを考えると不安になる金額です。
実際、金融広報中央委員会(知るぽると)の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」によれば、40代の貯蓄を含めた金融資産保有額の平均は559万円です。中央値で見れば47万円となるのですが、この数値には、金融資産を持たない世帯も含まれています。
金融資産を保有している世帯のみに絞れば、中央値で500万円、平均値は964万円です。
そう考えると、やはり息子さんの経済状態は良好とはいえないでしょう。
本当の援助について考える
とはいえ、300万円も貯金があるのであれば、日々の生活に困窮しているわけではないといえるでしょう。であれば、今親としてすべきなのは、お金の援助ではなく、本人が収入を増やしたりするためのサポートです。
昇進や副業、転職、はたまた浪費の削減など、収入を増やし、無駄な支出を減らすための方法を一緒に考え、必要に応じて手助けすることが必要でしょう。
仮に、昇進や転職などで月収が4万円でも増加すれば、年収では48万円増となり、毎月3万円の支援よりも収入が増えることになります。
履歴書の作成をサポートしたり面接のアドバイスをしたり、一緒に支出を見直したりと、できる範囲でお金を直接渡すこと以外の支援を行うことをおすすめします。
まとめ
毎月3万円の援助は、息子さんにとってはありがたい支えですが、ご自身の生活や老後資金を圧迫するリスクもあります。将来の収支シミュレーションを行い、本人が収入を増やし、自立するための具体的な支援方針を決めることが重要です。
息子さんの自立を促しつつ、ご自身の老後の生活も守るための計画的な援助が理想です。不安な場合はファイナンシャル・プランナーなど専門家に相談することも検討しましょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支-2024年- (18ページ)
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号3 金融資産保有額(金融資産保有世帯)、統計表の番号4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
執筆者 : 柘植輝
行政書士