義父母と同居になり、介護費用は夫と「折半」と言われました。パート勤務で月5万円の出費は痛いのですが、在宅介護ではなく「老人ホーム」に行ってもらった方がいいでしょうか?
この記事では、介護にかかる費用負担について、在宅介護と老人ホームのケースを比較しながら具体的な金額を交えて解説します。ぜひ参考にしてください。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
在宅介護の現実と見過ごせない費用負担
公益財団法人生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、自宅で介護を始めるために必要な住宅改修をはじめ、介護用ベッドや車いすなどの購入など、一時的な費用の平均は47万円とされています(一部介護保険給付あり)。
毎月必要な費用は平均9万円といわれていますが、この月額はあくまで平均値のため、介護度が重いほどサービス利用が増え、費用も増加するでしょう。
また、おむつ代や介護食、医療費などの実費も別途かかり、実際には平均額を上回るケースも少なくありません。一人月5万円/月の負担でも、介護度によって多くのサービスや物品が必要な場合は、計10万円/では不足する可能性は十分に考えられます。
老人ホームという選択肢、その費用内訳は?
次に、老人ホームへの入居を検討した場合の費用についてです。
老人ホームには、「特別養護老人ホーム(特養)」「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」「グループホーム」などの種類があり、それぞれ特徴や費用が異なります。
比較的費用が抑えられるといわれているのが、公的な施設である特養です。所得に応じた負担軽減制度があり、入居一時金も原則として不要とされています。
厚生労働省によれば、要介護5の方がユニット型個室の特養に入居した場合、月額費用の目安は約14万4000円です。この内訳は、施設サービス費が約2万9000円、居住費が約6万2000円、食費が約4万3000円、日常生活費が約1万円となっています。
一方で、民間有料老人ホームは設備やサービスが多様で、費用も幅広いのが特徴です。数百万円から数千万円の入居一時金が必要な施設もあるため、初期費用に対する考慮が必要です。
家計への影響と精神的負担
在宅介護は経済的負担に加え、時間的・肉体的負担も大きく、介護離職で世帯収入が減るリスクも考えられます。一方の老人ホーム専門ケアで介護者の負担を軽減できますが、費用は高く、選択肢が限られてしまうかもしれません。
また、家族内で意見が衝突したり、施設入居を勧めたりすることへの精神的負担もあるでしょう。経済的側面だけでなく精神的な側面も十分に考慮し、家族全員で話し合うことが大切です。
後悔しない介護の選択のために
介護の場所を選ぶ際に最も大切なことは、介護が必要である本人の意思と家族全体の生活の質を総合的に考えることです。在宅での介護を強く望むなら、その気持ちを尊重し、ケアマネジャーや地域包括支援センターといった専門家に相談するのが第一歩です。
現在の心身状態や家族の介護力、経済状況を伝え、「高額介護サービス費」や低所得者向けの「負担限度額認定」といった費用負担を軽減する制度の情報を得て活用するといいでしょう。
介護は一人で抱え込まず、家族で話し合って気持ちや負担を共有したり、協力体制を再確認したりすることが大事です。ほかにも、家族で費用や介護の分担を相談し、全員が納得できる形を見つける努力が求められます。
ショートステイなどを活用して介護者に休息の時間を作ることも、在宅介護を長く続けるためには欠かせません。目先の費用だけでなく、長期的な視点で最善の選択肢を冷静に検討していくことが大切です。
家族で支え合い、納得のいく介護の形を
介護費用は在宅と施設で異なり、精神的な負担も大きくなります。在宅介護は、初期費用や月々の費用が介護度によって変動するため、多くのお金が必要になる可能性も考えておかなくてはなりません。
一方、施設へ入居する場合、特養であれば比較的費用を抑えられますが、民間施設は高額なケースもあります。
最も重要なことは、家族全体の生活の質を総合的に考えることです。家族内で十分な話し合いをして協力体制を築き、専門家に相談したり公的制度を活用したりして、目先の費用だけでなく長期的な視点で最善の選択肢を見いだしてください。
出典
公益財団法人生命保険文化センター|生命保険に関する 全国実態調査(179、180ページ)
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 サービスにかかる利用料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー