人生で使う「医療費」の「約6割」が定年後にかかる!?高齢者全員分で「20兆」は超えると聞いたので怖いです→医療費負担を軽減できる「高額療養費制度」はどのように申請するの?
そこで今回は、高額療養費制度について解説していきます。
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人生で使う医療費の6割が定年後にかかる?
厚生労働省の「令和4(2022)年度 国民医療費の概況」によると、令和4年度にかかった国民医療費の総額は46兆6967億円です。年齢別にかかった医療費の総額と全体における割合を詳しく見ていきます。
・0~14歳:2兆6359億円(5.6%)
・15~44歳:5兆7317億円(12.3%)
・45~64歳:10兆2140億円(21.9%)
・65歳以上:28兆1151億円(60.2%)
年齢が上がるにつれて医療費は増えていくものの、45~64歳までの総額は全体の21.9%です。一方で、65歳以上になると28兆1151億円と全体のおよそ6割を超えており、65歳以上では40~64歳までと比べて3倍近くの医療費がかかっていることが分かります。
年齢の増加とともに病気になるリスクが高まり、持病の悪化や複数の病気を同時に抱えるケースなどもあるため、医療費がかさみやすくなることが原因と考えられます。
医療費負担を軽減する「高額療養費制度」について
定年後は現役時代と比べて収入が減ることもあり、医療費の増加が家計への負担に感じることもあるでしょう。老後の医療費負担を軽減できる制度の1つに「高額療養費制度」があります。
高額療養費制度は、ひと月にかかった医療費が年齢や所得に応じた限度額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。ただし、差額ベッド代や先進医療などは対象になりません。
毎月の上限額
高額療養費制度における毎月の医療費の上限額は、70歳以上と69歳未満で異なります。ここでは、70歳以上のひと月の上限額を表1にまとめました。
表1
| 所得区分 | ひと月の上限 (外来個人) |
ひと月の上限 (世帯) |
|
|---|---|---|---|
| 現役並み | 年収約1160万円~ ・標報83万円以上 ・課税所得690万円以上 |
25万2600円+(医療費-84万2000円)×1% | |
| 年収約770万円~約1160万円 ・標報53万円以上 ・課税所得380万円以上 |
16万7400円+(医療費-55万8000円)×1% | ||
| 年収約370万年~約770万円 ・標報28万円以上 ・課税所得45万円以上 |
8万100円+(医療費-26万7000円)×1% | ||
| 一般 | 年収156万~約370万円 ・標報26万円以下 ・課税所得145万円未満等 |
1万8000円 ・年14万4000円 |
5万7600円 |
| 住民税非課税等 | Ⅱ 住民税非課税世帯 | 8000円 | 2万4600円 |
| Ⅰ 住民税非課税世帯 (年金収入80万円以下など) |
1万5000円 | ||
※厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」を基に筆者作成
申請方法と注意点
医療費が高額になることが分かっているときは、加入している医療保険からあらかじめ「限度額認定証」を取り寄せておくと窓口での支払いを限度額までにとどめることができます。マイナ保険証を提示し「限度額情報」に同意した場合も同様です。
マイナ保険証や限度額認定証をお持ちでない方の申請の流れは次の通りです。
1・窓口で自己負担額を全額支払う。
2・申請書とあわせて、必要書類を加入している医療保険へ申請する。
3・高額療養費が払い戻される。
今後医療費の増加が見込まれる場合、手続き方法や必要書類などをあらかじめ加入している医療保険に直接問い合わせておくと安心です。
マイナ保険証を利用すると手続きの手間が省ける
厚生労働省の「令和4(2022)年度 国民医療費の概況」によると、65歳以降にかかる医療費は全体の6割を超えることが分かりました。医療費が家計を圧迫した際に活用できる高額療養費制度は、ひと月にかかる医療費が年齢や所得に応じた上限額を超えると、超過分が支給される公的制度です。
マイナ保険証や限度額認定証を利用すると、窓口で支払う金額を限度額までにとどめることができます。利用しない場合は、自己負担分を一度支払い、後日加入している医療保険あてに必要書類をそろえて申請手続きを行わなければなりません。詳細を知りたい方は、加入している医療保険あてに限度額や必要書類を確認するようにしましょう。
出典
厚生労働省 令和4(2022)年度 国民医療費の概況
厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
※2025/6/26 内容を修正いたしました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー