「母の介護で有給休暇を使おう…」→有給を使わず休めて「給料の67%」がもらえる制度も。「介護休業」と「介護休暇」の違い、使い方を解説

配信日: 2025.06.28 更新日: 2025.10.21
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「母の介護で有給休暇を使おう…」→有給を使わず休めて「給料の67%」がもらえる制度も。「介護休業」と「介護休暇」の違い、使い方を解説
家族の介護は、誰にでも突然訪れる可能性があります。急な付き添いや手続きが必要になった時、「まずは有給休暇を使おう」と考えるかもしれません。しかし、介護のために仕事を休む場合、大切な有給休暇を消費しなくても利用できる制度があることをご存じでしょうか。
 
法律で定められた「介護休暇」と「介護休業」は、目的や取得できる日数、給与の有無などが異なります。この記事では、2つの制度の違いと、状況に応じた賢い使い方を解説します。
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短期的なケアに対応する「介護休暇」

「介護休暇」とは、「育児・介護休業法」という法律で定められた労働者の権利です。要介護状態にある家族の直接的な介護や、通院の付き添い、役所での手続き、ケアマネジャーとの面談といった、突発的・短期的な用事のために利用できる休暇制度です。
 
会社によっては法律を上回る、より手厚い内容を定めている場合もありますが、一般的な基準を以下で解説します。
 
■取得できる日数
・1年度において、対象となる家族が1人の場合は5日まで、2人以上の場合は10日まで取得できます。
 
■対象となる人
・要介護状態にある家族の介護や世話をする労働者が対象です。
・「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体上・精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態を指します。
・対象となる家族は、配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母です。
 
■対象とならない場合
法律上、会社は従業員の代表との書面による協定(労使協定)を結ぶことで、「1週間の所定労働日数が2日以下の従業員」を対象から除外することが認められています。ご自身の勤務先の就業規則を確認しましょう。
 
■給与
介護休暇中の給与を支払うかどうかは法律上の定めがなく、勤務先の就業規則によります。事前にご自身の会社の制度を確認しておくと安心です。
 

体制を整えるための「介護休業」

一方、「介護休業」は、家族が要介護状態になった際に利用できる制度です。在宅介護の準備や施設探し、今後の介護方針を家族で話し合うなど、仕事と両立しながら長期的な介護の体制を整えるために、まとまった期間休業することを目的としています。
 
■取得できる日数
・対象となる家族1人につき、通算で93日まで取得できます。3回まで分割して取得することが可能です。
 
■対象となる人
・原則として、要介護状態にある家族を介護する労働者が対象です。「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体上・精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態を指します。
・対象となる家族は、配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母です。
 
■対象とならない場合
勤務先の会社の定め(労使協定)によっては、以下のような従業員は対象外となる場合があります。

・入社1年未満の従業員
・申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
・1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
 
■手続き
・休業の開始日と終了日を明確にした上で、原則として休業を開始したい日の2週間前までに、会社へ書面などで申し出る必要があります。
 
尚、介護休業中の給与については、法律上、会社が支払う義務はありません。そのため、ほとんどの企業では無給となるのが一般的です。ただし、一定の要件を満たした場合は、雇用保険から「介護休業給付金」が支給される制度があります。続けて詳しく見ていきましょう。
 

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給料の67%が支給される「介護休業給付金」

介護休業中に会社から給与が支払われない場合でも、一定の要件を満たす雇用保険の被保険者であれば、ハローワークから「介護休業給付金」を受け取れます。受給には、原則として休業開始前の2年間に、雇用保険の加入期間が12か月以上あることなどが必要です。
 
支給額は、原則として休業開始前の給与の67%が目安です。この金額は、「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%」という計算式で算出されます。ここでいう「休業開始時賃金日額」とは、休業に入る前の6か月間の賃金総額(賞与などを除く)を180で割った額が基本となります。
 
ただし、この計算通りにならない場合もあります。給付額には上限が定められているほか、休業期間中に会社から賃金が支払われると、その分給付金が減額されることがあるためです。個々の状況で金額は変わるため、詳細は勤務先やハローワークに確認するとよいでしょう。
 
給付金を受け取るには、事業主を通じてハローワークへの申請が必要です。手続きについても、あらかじめ会社の担当部署に確認しておくとスムーズに進むでしょう。
 

介護と仕事の両立のために

介護休暇と介護休業は、どちらも仕事と介護を両立させるための大切な制度です。それぞれの違いを理解し、ご自身の状況に合わせて使い分けることが重要です。
 
突発的な付き添いや手続きには時間単位でも利用できる「介護休暇」を、介護の体制を腰を据えて整えるためには「介護休業」と給付金制度を活用するのが基本的な使い方になるでしょう。
 
家族の介護という現実に直面した際に慌てないためにも、まずは勤務先の就業規則を確認し、利用できる制度について正しく理解しておくことから始めるとよいでしょう。
 

出典

厚生労働省 介護休暇とは
厚生労働省 育児・介護休業法について
厚生労働省 Q&A~介護休業給付~
厚生労働省 07 育児・介護休業等に関する労使協定の例
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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