「在宅介護」している母のために週2回デイサービスを利用しています。費用は「月3万円」ほどですが、介護費用の相場としてはどうですか?
そこで本記事では、デイサービスの利用料や介護度による費用の違い、さらに介護費用を抑えるための制度について解説します。
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在宅介護の費用
公益財団法人生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護にかかる費用のうち、公的介護保険サービスの自己負担分も含めた毎月の支出を見ると、1ヶ月あたりの平均額は約9万円となっていますが、介護費用は介護度によって変動します。
介護度別にかかる介護費用の月額を、図表1にまとめました。
図表1
| 介護度 | 月額 |
|---|---|
| 要支援1 | 1万8625円 |
| 要支援2 | 4万6555円 |
| 要介護1 | 4万7277円 |
| 要介護2 | 6万6148円 |
| 要介護3 | 7万1161円 |
| 要介護4 | 8万9461円 |
| 要介護5 | 12万2454円 |
出典:公益財団法人生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」より筆者作成
介護度が上がると、かかる費用も増加することが分かります。在宅介護ではさまざまなサービスを利用できますが、以下でデイサービスの費用について見ていきましょう。
デイサービスの費用は「介護保険が適用される自己負担分」と「介護保険が適用されない自己負担分」の合計金額です。
デイサービスにおいて介護保険が適用される費用
デイサービスの費用で介護保険内となるのは、利用料とサービス加算です。利用料とはデイサービスでのレクリエーションや送迎など、デイサービスを利用すると必要になるものです。デイサービスの利用料は、利用時間と介護度、施設の規模、利用する地域によって変わります。
サービス加算とは、特別なサービスを受けた場合と、人員体制が強化されている施設を利用した場合に加算される費用です。特定サービスには、入浴介助加算、口腔機能向上加算、栄養改善加算などです。これらは一例ですので、施設が行っているサービスの種類や費用を確認することをおすすめします。
人員体制が強化された施設の加算は、「サービス提供体制強化加算」と呼ばれます。サービス提供体制強化加算が適用される施設では、介護福祉士や勤続年数の長い介護職員の割合を定めて介護体制を整えているのです。
サービス提供体制強化加算が適用される施設は、費用はかかってしまいますが、経験豊富な介護職員がそろっており、介護環境が充実しているといえます。デイサービスを選ぶ目安となるでしょう。
デイサービスにおいて介護保険が適用されない費用
介護保険が適用されない費用は、食費やおやつ代、紙オムツや歯ブラシなど日用品代です。これらの費用は施設ごとで決められるので、事前に施設への確認が必要です。
また、日用品に関しては施設のものを利用した場合にかかるため、自宅から歯ブラシセットや紙オムツを持参することで費用は抑えられます。
介護費用を抑える制度の利用
介護費用も積み重なれば、大きな出費となります。そこで本章では、介護費用の負担を軽減するための制度について解説します。軽減対象となるのは介護保険適用の費用のみで、食費やその他の費用は対象外です。
高額介護サービス費制度
「高額介護サービス費制度」とは、介護保険サービス費が1ヶ月の上限を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。上限額は収入によって変わるため、図表2に世帯の収入ごとに月々の上限額を示しました。
図表2
| 区分 | 負担の上限額(月額) |
|---|---|
| 課税所得690万円以上 (年収約1160万円以上) |
14万100円(世帯) |
| 課税所得380万~課税所得690万円未満 (年収約770万~1160万円未満) |
9万3000円(世帯) |
| 課税所得380万円未満の住民税課税世帯 (年収約770万円未満) |
4万4400円(世帯) |
| 世帯の全員が住民税非課税 | 2万4600円(世帯) |
| 世帯の全員が住民税非課税で前年の収入金額とその他の所得金額が80万円以下など | 2万4600円(世帯) 1万5000円(個人) |
| 生活保護を受けているなど | 1万5000円(世帯) |
出典:厚生労働省 「令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」より筆者作成
世帯ではなく個人で上限額が決まる場合もあるため、詳細については各自治体の窓口で確認しましょう。
高額医療・高額介護合算療養費制度
毎年8月1日~翌年7月31日の1年間にかかった介護保険と医療保険における自己負担額の合計が限度額を超えてしまった場合に、超過した分の費用を払い戻し、負担を軽減するための制度です。
デイサービス費用が対象の控除制度
デイサービスの利用において、条件を満たすことで受けられる控除が3つあります。
■医療費控除
1月1日から12月31日の1年間で、利用者や家族が一定以上の医療費を払った際に受けられる控除です。デイサービスの費用は医療費控除の対象外ですが、決まったサービスと併用することで医療費控除の対象となります。
■扶養控除
世帯主に扶養親族がいる場合に、世帯主の所得から一定の金額を控除できる制度です。
■障害者控除
障害のある人やその家族が受けられる控除で、本人もしくは同じ家計で生活する配偶者や扶養親族が所得税法における「障害者」にあてはまる場合に利用できます。
在宅介護にかかる費用は制度をうまく使って抑えよう
在宅介護における費用は、デイサービスの施設利用料や紙オムツ代などがあります。また、介護度が上がれば費用もかさみます。控除制度や払い戻しされる制度を使って介護費用の負担を抑えましょう。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査
厚生労働省 令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます
国税庁 No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス対価
国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.1160 障害者控除
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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