65歳以降「月給20万円」の再雇用を検討中。今の給与より下がりますが、世間的には“相場”なのでしょうか? ほかの会社へ「再就職」すべきですか? 65歳以降の「平均年収」も確認
とはいえ、定年まで勤めた会社に再度勤める再雇用の場合、定年前後で年収が大きく下がることが少なくありません。
本記事では、65歳で定年後再雇用として勤務し「月給20万円」になるケースを基に、一般的な高齢者の年収や再雇用者の収入の実態、さらに他社への再就職のメリット・デメリットについて解説します。
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再雇用では給与が下がるのが一般的
現在、多くの企業では定年後も継続雇用制度が導入されており、65歳以降に再雇用契約を結んで同じ職場で働き続けることができる場合も多々あります。
しかし、その条件は定年前とは大きく異なるのが一般的です。
株式会社リクルートの「シニア層の就業実態・意識調査2023」によると、再雇用された人のうち、8割以上が「以前より給与が減った」と回答しています。50%以上給与が減ったという人も4人に1人に上りますので、再雇用による給与減少はある程度、覚悟する必要があるでしょう。
65歳以降の平均年収は?
国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均年収は約460万円です。ただし、これは全世代の平均です。多くの会社の場合、平均年収は定年を迎える60歳までは上昇傾向ですが、その後は下がり、60~64歳では445万円、65~69歳では354万円、70歳以上では293万円となっています。
本記事の事例のように、月給20万円の場合、年間に換算すると240万円です。再雇用の場合は賞与が支給されない、もしくは支給額が大幅に減るケースも多いため、年収が240万円だとすると、同世代で働いている人の平均的な年収水準よりも低いといえるでしょう。
再雇用と再就職はどちらを選ぶべき?
定年前と同じ会社で働き続ける再雇用と、別の会社に就職する再就職では、どちらが自分に合っているのか、慎重に検討することが大切です。この点については、収入面だけでなく、働きやすさや将来性などを複合的に考える必要があります。
再雇用のメリット・デメリット
まず、これまでの会社で再雇用される場合は、長年勤めてきたことによる人間関係の蓄積や業務への理解があり、比較的スムーズに働き続けられるというメリットがあります。また、勤務日数や時間について交渉しやすい場合もあります。
一方、再雇用では給与が大幅に減額されるケースが一般的であり、現役時代の待遇と比べると見劣りしてしまうことが多いのが現実です。さらに、再雇用契約は年単位での更新が多く、昇給や昇格のチャンスがあまりない点もデメリットとして挙げられます。
再就職のメリット・デメリット
これに対して、まったく別の企業に再就職する場合には、これまでの経験やスキルが高く評価されれば、定年前の給与に近い水準や、場合によってはそれ以上の収入が期待できるかもしれません。新たな職場での仕事は刺激にもなり、「第二のキャリア」としてのやりがいを感じられる場面もあるでしょう。
ただし、再就職には高い壁もあります。年齢を理由に書類選考すら通らないことも考えられ、採用のハードルは決して低くはありません。採用されても、これまでとは異なる企業文化や職場環境に順応するための負担は大きくなりがちです。また、通勤距離や勤務条件などが希望に合わないケースも考えられます。
まとめ
65歳以降の再雇用において、月給20万円というのは再雇用者の中ではそこまで珍しくない水準ですが、決して高い金額ではありません。収入を重視するなら再就職という選択肢もありますが、安定や慣れた職場環境を求めるなら再雇用にもメリットがあります。
自分が選ぶ働き方に納得できるかどうかや、体力、経済状況、ライフスタイルを考慮したうえで、無理のない選択をしていきましょう。
出典
内閣府 令和6年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)第2節 高齢期の暮らしの動向 1 就業・所得
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
株式会社リクルート ジョブズリサーチセンター 【基本報告書】シニア層の就業実態・意識調査 2023―個人編60~74歳―
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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