年金暮らしでも「賃貸住まい」はできる? 目安となる年金額は?

配信日: 2025.07.08 更新日: 2025.10.21
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年金暮らしでも「賃貸住まい」はできる? 目安となる年金額は?
持ち家で老後を迎えることが当たり前と思いきや、そうでない方も一定数いらっしゃるようです。しかし、限られた年金収入から家賃を支払っていくのはそう簡単ではありません。
 
そこで本記事では、老後年金暮らしで賃貸住まいをするにはどれくらいの年金収入があれば実現できるのか試算してみます。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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老後、賃貸住宅で生活する人はおよそ12.8%

内閣府の「令和5年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の住宅と生活環境に関する調査)の結果」によれば、65歳以上の高齢者のうち、12.8%が賃貸住宅となっているようです。また、総務省の「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」によれば、近年の持ち家率はおよそ60%前後で推移を続けているようです。
 
今後、自身が老後に賃貸住宅で過ごすという可能性も十分あり得るでしょう。老後、賃貸住宅で過ごすことは誰にとっても他人事ではないのです。
 

65歳以上の賃貸住宅における1ヶ月あたりの平均家賃はおよそ「5万円」

総務省の同調査によれば、65歳以上の高齢者が支払う賃貸住宅における家賃の全国平均は1ヶ月あたり4万8934円となっています(家賃0円の世帯を除く)。つまり、老後賃貸住宅に住み続けるのであれば、5万円程度の家賃を見込んでおく必要があるのです。
 
しかし、この平均家賃には地域によって大きな差が出ます。例えば、東京都特別区部においては月7万6975円が平均家賃となっているのに対し、青森県では3万1386円と2.5倍近い差がついています。このように、老後の家賃を考えるにあたっては自分が老後住む場所も考慮する必要があるでしょう。
 

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目安となる年金額はどれくらいになる?

毎月4万8934円の家賃を支払うためにはどれくらいの年金収入を得る必要があるのでしょうか。
 
あくまでも一般的にいわれる話ではありますが、家賃は収入の30%程度が目安といわれています。現在は税金や社会保険料負担の上昇や物価高騰が著しいことを考えると、25%程度が妥当と考えるべきでしょう。
 
そう考えると、19万6000円程度の収入が必要になりそうです。東京都特別区部など家賃の高い地域に住むなら30万8000円程度、青森県など家賃の安い地域でも12万6000円程度は必要になるでしょう。
 

統計上の生活費を参考にすると、必要な年金額はどれくらいになるのか?

家賃額から必要な年金額を割り出してみても、実際にその金額で生活できるかは別問題です。続いては統計上の生活費を確認していきましょう。
 
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によれば、令和5年における高齢者世帯の1ヶ月の消費支出は、65歳以上の夫婦のみ無職世帯で25万959円となっています。
 
うち、住居費は6.7%となっており、わずか1万6827円です。家賃の全国平均4万8934円からは3万2107円不足しています。それを考えると、夫婦で賃貸住宅で暮らしていくのであれば、30万円程度の金額が必要になるでしょう。
 
一方、65歳以上の単身無職世帯では1ヶ月の平均消費支出は14万5430円となっています。住居費に占める割合は8.6%、1万2564円です。家賃の全国平均4万8934円からは3万6370円小さくなっています。そのため、統計上、現実的な生活をしていくのであれば、19万円程度の年金額が必要になりそうです。
 
また、日本年金機構によると、令和5年度の年金支給額は、国民年金(満額)で月額6万6250円、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)が22万4482円となっています。
 
以上を踏まえると、国民年金だけの年金暮らしで賃貸住宅に入居は難しい可能性が高いと考えられるでしょう。標準的な厚生年金額を受け取れる世帯であれば不可能ではないかもしれませんが、生活は相当に厳しいものになるでしょう。
 

年金暮らしで賃貸住宅に住むなら20万円程度の年金収入があることが理想と考えられる

年金暮らしでも老後賃貸住宅に住むことは不可能ではありませんが、統計上、単身世帯で19万円程度、夫婦なら30万円程度の収入が必要になると想定されます。老後、賃貸住宅に住むなら無理に年金だけに頼らず、就労して収入を得る、それまでに十分貯蓄を確保しておくなどして、家賃を賄えるだけの準備を整えておくことが理想でしょう。
 

出典

内閣府 令和5年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の住宅と生活環境に関する調査)の結果(全体版) 第2章 調査結果の概要 3.住宅の状況(61ページ)

総務省 令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果 5 住宅の所有の関係(8ページ)

e-Stat政府統計の総合窓口 総務省 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 全国・都道府県・市区町村 2023年10月 表番号48-1 家計を主に支える者の年齢(6区分)、世帯の年間収入階級(5区分)別住宅の1か月当たり家賃(10区分)別借家に居住する主世帯数及び1か月当たり家賃-全国、都道府県、21大都市

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2023年-(19ページ)

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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