「定年まであと10年、貯金1000万円」の50代夫婦。このままで老後資金は足りる?
そこで、本記事では、平均的な老後生活費に加え、貯蓄の不足分を補う方法について考えていきます。
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
平均的な老後生活費
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における1ヶ月の支出(消費支出+非消費支出)は、約29万円が必要となっているようです。それに対して、年金収入を含む社会保障給付は、月約23万円となっています。その差はなんと月約6万円と、非常に大きくなっています。
つまり、平均的な世帯としての老後生活費は、1000万円の貯金では、14年足らずで貯金が底をついてしまう計算になります。仮に、65歳から年金を受け取り始めたら、79歳になるころには貯金が尽きてしまう可能性があるでしょう。
インフレや突発的な支出を加味すると、実際の生活費はさらに膨らみ、10年ともたずに貯金が底をついてしまうこともあり得なくはないでしょう。加えて、人生100年時代といわれる昨今、79歳という年齢は、人によってはさらに10年以上生きることも想定されます。
その点を鑑みると、50代で定年まで残り10年間しかない時期に、貯金が1000万円という状況は、決して楽観視できる状況ではありません。
不足を補うための戦略と行動プラン
少しでも老後の生活を豊かなものとしたり、不安を解消したりするためには、先に見てきたような不足を補うための行動が必要となってきます。
ひとつの例として、収入を増やすために、定年後も働くという選択もできるでしょう。月6万円の収入の確保であれば、定年後でも十分可能と考えられます。
例えば、午前中だけのパートでも不可能ではないかもしれません。余裕があれば7万円、8万円と収入を増やすことで、生活にゆとりをもたらすことも可能です。
並行して、支出の見直し、特に固定費の削減も有効でしょう。通信費・保険料・住居費などは、一度契約してしまうとそのままになってしまい、当初契約した内容やサービスの価格が現在の生活にそぐわなくなることもあります。固定費にかかる契約内容を定期的に見直すことで、月2~3万円の削減が可能になることもあり得ます。
特にスマホ代は、格安SIMに変更してみる、保険は、不要であれば思い切って解約したり保障を下げたりすることで、削減できる金額が大きく変わります。
一番の課題は貯金をいくら増やせるか
老後までの10年で、老後の貯金を十分な額にまで増やせるのであれば、現時点で必要な貯金額は満たせているといえるでしょう。
仮に、先述の総務省統計局の統計データを基に、65歳から90歳までの25年間を想定すると、不足する額は約1800万円です。今の貯金額1000万円を差し引き、残りのおよそ800万円を退職金や日々の貯蓄で確保できるのであれば、最低限必要な貯蓄額は満たせているといえそうです。
しかしながら、この点は、各世帯の考え方によって変わる部分でもあります。具体的に必要となる現時点での貯金額は、老後までに貯金できる額と、老後に必要になる金額の総額の目安によって変化するため、一概に決めることは難しいでしょう。
まとめ
定年まで残り10年、老後の迫った50代夫婦において、貯金が1000万円という状態は決して楽観視できる状況ではありませんが、老後の生活について、全く見通しの立たない状態でもないでしょう。
老後の生活次第では、必要な貯金額を満たしているとも考えることができる額でもあります。
もし、より正確に必要な金額が知りたい場合は、一度、老後の生活についてシミュレーションしてみるか、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に個別の相談をしてみるとよいでしょう。