70代両親の「貯金額」が分からず、「仕送り」したほうがよいのか悩んでいます。「お金の話」の上手な切り出し方と、「安心できる貯蓄額」の目安が知りたいです

配信日: 2025.07.09 更新日: 2025.10.21
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70代両親の「貯金額」が分からず、「仕送り」したほうがよいのか悩んでいます。「お金の話」の上手な切り出し方と、「安心できる貯蓄額」の目安が知りたいです
親が高齢になるにつれて、「お金のこと、そろそろ聞いておいたほうがいいのかな」と思う場面が増えてくるかもしれません。とはいえ、実際に貯金額をたずねるのは気が引けるものです。ましてや、生活が苦しそうに見えても、仕送りを始めてよいのか判断に迷う方も多いでしょう。
 
この記事では、70代夫婦の平均的な貯蓄や支出額をもとに、「取りあえず安心できる貯蓄ライン」と、親子の間で無理なくお金の話を始めるための工夫をご紹介します。
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親の貯金額を知らないと起こり得るリスク

親の貯金額や収支が分からないままだと、いざというときに何をどう負担すべきか、子どもとして判断に迷う場面が出てくるかもしれません。例えば、介護費用や住まいのリフォーム費用が必要になったとき、結果的に子世代が慌ててまとまったお金を用意することになるケースもあります。
 
そうした事態を防ぐためには、早めにお金の話をして、これからの資金計画を「家族全体の課題」として共有しておくことが大切です。そうすることで、必要な準備を無理なく進められるようになるでしょう。
 

70代夫婦の平均貯蓄と生活費の実態

「実際、どれくらい貯金があれば安心できるのか」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。目安を知るためには、まず同年代世帯の収支状況を把握することが大切です。
 
総務省統計局の「家計調査(貯蓄・負債編)二人以上世帯」によると、2024年の70歳以上の世帯あたりの平均貯蓄残高は2441万円です。
 
同じく家計調査(家計収支編)では、「65歳以上夫婦のみ無職世帯」の月間消費支出が25万6521円、年間換算で約307万8252円となっています。
 
実収入は平均25万2818円と支出をやや下回り、毎月数千円、年間では約4万5000円の赤字が発生しがちです。この赤字が毎年続くと、貯蓄を切り崩していくことになるでしょう。
 

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「お金の話」を円滑に切り出す3つのステップ

たとえ家族であっても、「貯金はいくらあるの?」と聞くのは勇気がいるものです。相手の気分を害さず、必要な情報を得るには、伝え方にも工夫が必要です。
 
そこでここでは、「お金の話」をスムーズに切り出すための3つのポイントを紹介します。
 
1.目的を明確にして伝える
 「仕送り額の検討」「介護サービスの契約可否」など、話し合いの理由を具体的に示します。
 
2.数字を共有するツールを用意する
 家計簿アプリや通帳コピーなど、双方が同じ情報を同時に見られる資料を先に準備すると心理的ハードルが下がるかもしれません。
 
3.第三者の助言を活用する
 金融機関の窓口や地域包括支援センターの相談員に同席を依頼し、中立的な立場で進行してもらう方法も有効です。
 

仕送りの判断と「取りあえず安心できる」貯蓄ライン

そして、仕送りをすべきかどうかを考えるには、まず親が日々の生活にどの程度のお金を必要としているのかを把握することが大切です。
 
実際の生活費や介護費用などをもとに、最低限確保しておきたい貯蓄額の目安を知っておくと判断しやすくなるでしょう。
 
厚生労働省の資料によれば、在宅介護サービスの自己負担は平均月額9400円、施設入所の場合は2万8000円程度です。ただし、これはあくまで平均的な金額であり、要介護度や利用するサービスによって自己負担額は大きく変動します。
 
仮に在宅介護を前提とすると、介護費用だけで年間約11万3000円、先に見た生活費(約308万円)と合わせると、年間で約320万円が必要な生活資金の目安となります。
 
さらに、突然の入院や家の修繕、家電の買い替えといった不測の事態に備えるための「予備費」も考慮に入れる必要があります。この予備費を、例えば生活費の1年分(約300万円)と考えると、合計600万円前後を「取りあえず安心できる」貯蓄ラインとみることができます。
 
親の貯蓄がこの水準を大きく下回る場合、仕送りや一時的な立て替えを検討する判断材料になるでしょう。反対に十分に上回る場合は、仕送りよりも資産運用や介護保険の活用策を話し合うほうが建設的といえます。
 

70代の両親の貯金額が不明なとき「お金の話」をどう切り出すのが正解か

平均データを踏まえると、年間の生活費や介護費用を合わせた600万円前後が、ひとつの安心ラインになると考えられます。親子で今の貯蓄や支出について情報を共有しておけば、いざというときに慌てずに済むでしょう。
 
話すきっかけや伝え方に少し工夫を加えることで、お金の話も自然にできるようになるはずです。無理のない範囲で、できることから始めてみるとよいでしょう。
 

出典

総務省統計局 家 計 調 査 報 告 貯蓄・負債編 2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)
総務省統計局 家 計 調 査 報 告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要
厚生労働省 老健局 給付と負担について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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