2025年4月以降「高年齢雇用継続給付」の支給率が15%→10%に変更された!定年後の給与が「15万円」だと支給額はいくら減る?

配信日: 2025.07.12 更新日: 2025.10.21
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2025年4月以降「高年齢雇用継続給付」の支給率が15%→10%に変更された!定年後の給与が「15万円」だと支給額はいくら減る?
60歳を超えて働き続ける方の賃金が60歳到達時点などと比べて一定割合下がった場合、その差額を補うことを目的に創設された制度が高年齢雇用継続給付です。この制度は、2025年4月から支給率が引き下げられました。
 
本記事では、高年齢雇用継続給付の基本から法改正による変更点、具体的な支給額のシミュレーションまで分かりやすく解説します。
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高年齢雇用継続給付とは?

60歳を過ぎて働き続ける際、現役時代よりもお給料が大きく下がってしまうことがあります。そんなときに生活をサポートしてくれる制度が、雇用保険から支給される「高年齢雇用継続給付」です。この制度には、ご自身の働き方に応じて2種類のタイプがあります。
 
1つ目が、高年齢雇用継続基本給付金です。これは、基本手当(失業手当)をもらわずに、60歳以降も同じ会社で再雇用されるなど、継続して働く方が対象となります。厚生労働省によれば、受給条件は、以下の通りです。
 

・60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満に低下
・雇用保険に加入している60歳以上65歳未満の方
・雇用保険の加入期間が通算5年以上

 
もうひとつは、高年齢再就職給付金です。こちらは、基本手当を受け取った後、60歳以降新たに仕事を見つけて再就職した方向けの給付金です。受給条件は、以下の通りです。
 

・再就職後の各月の賃金が基本手当の基準となった賃金日額×30の額の75%未満
・雇用保険に加入している60歳以上65歳未満の方
・基本手当の算定基礎期間が5年以上ある
・再就職日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上ある
・1年以上の安定した職に就いた
・同一の就職で「再就職手当」を受け取っていない

 
これらの給付金は、どちらの種類であっても65歳に達すると支給がストップします。
 
ただし、「高年齢雇用継続基本給付金」は60歳になった月から65歳になる月までが対象期間ですが、「高年齢再就職給付金」は再就職日の前日における基本手当の支給残日数によって、支給期間が1年または2年と定められています。そのため、65歳に達する前に支給が終了する場合があるため注意が必要です。
 
また、支給対象の月は1日から末日まで継続して雇用されていることが条件となります。
 

2025年4月からどう変わる?

高年齢雇用継続給付は、2025年4月に法改正され支給率が変更になりました。厚生労働省によると、60歳以降の賃金に対して支払われる具体的な給付金の割合は以下の通りです。
 

・変更前:各月に支払われた賃金額の15%(賃金の低下率が61%以下の場合)
・変更後:各月に支払われた賃金額の10%(賃金の低下率が64%以下の場合)

 
つまり、同じ条件で働いていても、将来受け取れる給付金が減ってしまう可能性があるのです。どちらの支給率が適用されるかは、いつ60歳を迎えるかによって変わります。
 
変更前の支給率が適用されるのは、2025年3月31日までに60歳になる方で、変更後の支給率が適用されるのは、2025年4月1日以降に60歳になる方です。ご自身の誕生日を確認し、どちらのルールに当てはまるのかをチェックしておきましょう。
 
なお、60歳に達した日時点で雇用保険の加入期間が5年以上ない場合は、その期間が5年を満たすことになった日が、2025年3月31日までか2025年4月1日以降かで支給率が変わります。
 

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60歳以降の給料が15万円だといくら支給される?

制度変更で支給額は具体的にどう変わるのかについて解説します。60歳以降の月収が15万円になったというケースで、実際にシミュレーションしてみましょう。ここでは、賃金が大きく下がり、低下率が61%になるケースで計算します。
 
まず、2025年3月31日までに受給資格の要件を満たして変更前のルールが適用される方の支給額は、15万円×15%=2万2500円です。
 
一方、2025年4月1日以降に受給資格の要件を満たして変更後のルールが適用される方は、15万円×10%=1万5000円が支給額です。この結果、毎月の支給額に7500円もの差が生まれます。年間では9万円、65歳までの5年間では実に45万円もの差額となり、老後の生活設計に大きな影響を与える可能性があります。
 

60歳以降の給与が15万円、賃金の低下率が61%の場合、支給額は月7500円減る

60歳を過ぎても働く方を支援する高年齢雇用継続給付は、60歳以降の賃金が下がった場合に生活をサポートしてくれる大切な制度です。しかし、2025年4月からは支給率が最大15%から10%に引き下げられたため、受け取れる金額が減る可能性があります。
 
例えば、60歳以降の月収が15万円、賃金の低下率61%のケースでは、月に7500円、年間9万円、5年間で最大45万円もの差が生じるケースもあります。
 
受給資格の要件を満たした日によって適用ルールが変わるため、ご自身がどちらの対象かを早めに確認し、将来の収入設計に備えることが重要です。制度を正しく理解し、老後の不安を少しでも軽くしていきましょう。
 

出典

厚生労働省 令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します
厚生労働省 Q&A~高年齢雇用継続給付~ Q1 高年齢雇用継続給付の受給資格を教えてください。、Q2 高年齢雇用継続給付の支給を受けることができる期間はいつまでですか。、Q8 高年齢雇用継続給付の支給額はどのように計算されるのですか。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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