来年定年を迎え「1000万円」の退職金を受け取れそう。手堅く「貯蓄」か、それとも「投資」かどっちがいい? 検討が進められている「プラチナNISA」についても解説
本記事では国内企業の退職金額相場をご紹介するとともに、退職金の賢い使い方や、検討中の新制度「プラチナNISA」についても解説します。
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都内中小企業のモデル退職金額は大学卒で「1149万5000円」
東京都産業労働局が発表した「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」によると、「学校を卒業してすぐに入社した者が普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準」である「モデル退職金」(定年)は以下の通りです。
・高校卒:974万1000円
・高専・短大卒:992万円
・大学卒:1149万5000円
一方、厚生労働省中央労働委員会が実施している「令和3年賃金事情等総合調査(確報) 令和3年退職金、年金及び定年制事情調査」によると、資本金5億円以上かつ労働者1000人以上の企業における平均退職金支給額は定年退職で1872万9000円、大学卒・男性の場合は満勤勤続で2230万4000円です。
大企業の場合は、2000万円以上の退職金を受け取れる可能性もあることが分かります。
退職金の賢い使い方
退職金の上手な使い方に関しては、受取金額の違いこそありますが、基本的には普段の給与・ボーナスと大きくは変わりません。重要なのは、以下のようにお金を前もって分けておくことです。
(1)まずは使い道を明らかにする
お金を「当面の生活資金」「直近で使う予定のあるお金」「すぐに使う予定のないお金」に分けます。
「当面の生活資金」にどの程度の金額を充てるかは各家庭によって変わりますが、もし年金受取までに期間があるようなら、その時点までの生活費に関しても概算で見積もっておくとよいでしょう。
(2)すぐに使う予定のお金は普通預金へ
「生活資金」「直近の出費に回す資金」については、出し入れが容易な普通預金口座へ預けておきます。退職金は従来の給与・ボーナスより金額が大きいケースが多いことから、使いすぎが心配な場合は口座を2つに分け、一定の金額を毎月移すような方法をとるのもよいでしょう。
(3)すぐに使う予定のないお金は資産運用へ
「老後○○万円問題」として取り沙汰されるように、退職金だけでは老後資金が不足する可能性も十分考えられます。上記を差し引いて残った金額については、NISAなどの運用益が見込める可能性のある資産運用の元本に回すとよいでしょう。
検討が進められている「プラチナNISA」とは?
上述のNISAについては今後、高齢者向けの新制度「プラチナNISA」が導入される可能性が示唆されています。
この制度は「資産運用立国議員連盟」による提言に盛り込まれたもので、この中では高齢者に限り、「毎月分配型」の投資信託をプラチナNISAの対象商品に加えることが提案されています。
先述の通り、形成した老後資金を取り崩しながら生活する可能性が高いため、分配金の定期的な受け取りが可能な本制度は、高齢者に一定のメリットがあるといえるかもしれません。
しかしながら、分配金は運用益が出ていない場合にも元本から定期配当されるケースがあるため、運用資産の元本全体が目減りしていってしまうリスクを抱えています。リスクを低減する仕組み作りが検討されるかなど、今後の動向を注視する必要があるでしょう。
まとめ
1000万円の退職金はモデル退職金の水準と比べても遜色ないといえそうです。貯蓄でローリスクローリターンに温存するか、資産運用で少しでも運用益を求めるかは、受け取り時点での資産形成の進行度によっても変わります。
新制度の導入や経済動向に対してもアンテナを立てながら決められるとよいでしょう。
出典
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)II.調査結果の概要 8.モデル退職金(34ページ)
厚生労働省 中央労働委員会 令和3年賃金事情等総合調査(確報)「令和3年退職金、年金及び定年制事情調査」[調査結果の概要]3 退職金額(6ページ~7ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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