夫が定年後も「再雇用」で働くと言っています。「勤務延長制度」も選択肢になると思うのですが、どちらの制度が「一般的」なのでしょうか?

配信日: 2025.07.14 更新日: 2025.10.21
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夫が定年後も「再雇用」で働くと言っています。「勤務延長制度」も選択肢になると思うのですが、どちらの制度が「一般的」なのでしょうか?
2021年4月1日施行の高年齢者雇用安定法の改正により、従来の65歳までの雇用に加え、70歳までの就業確保が企業の努力義務として加わりました。定年後も働く意欲がある人にとって「再雇用制度」と「勤務延長制度」のどちらが一般的な選択肢になるのか気になる人もいるでしょう。
 
そこで今回は、定年後の「再雇用制度」と「勤務延長制度」の違いについて解説します。企業の導入状況についても解説しますので、高年齢者就業確保措置の継続雇用制度を活用したい人は参考にしてください。
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定年後の「再雇用」と「勤務延長制度」の導入状況

厚生労働省の「令和4年就労条件総合調査の概況」によると、一律定年制を定めている企業で勤務延長制度や再雇用制度を導入している企業の割合は、表1の通りです。
 
表1

勤務延長制度または再雇用制度を導入していない企業 5.8パーセント
勤務延長制度または再雇用制度を導入している企業 94.2パーセント
制度別 勤務延長制度のみ 10.5パーセント
再雇用制度のみ 63.9パーセント
両制度併用 19.8パーセント

※厚生労働省「令和4年就労条件総合調査の概況」を基に筆者作成
 
表1より、勤務延長制度または再雇用制度を導入している企業は94.2パーセントと高いものの、勤務延長制度と再雇用制度の両方を併用している企業割合は19.8パーセントとなっています。
 
制度別にみると、勤務延長制度を導入している企業は10.5パーセントに対し、再雇用制度を導入している企業が63.9パーセントにのぼることから、再雇用制度の方が一般的であることが分かります。
 

定年後の「再雇用制度」と「勤務延長制度」の違い

高年齢者就業確保措置の継続雇用制度は、労働条件賃金などを柔軟に選択して働ける「再雇用制度」と、定年後も変わらずに働き続けられる「勤務延長制度」があります。各制度についてそれぞれ解説します。
 

「再雇用制度」とは

再雇用制度は、定年退職前とは異なる雇用形態で再び働く仕組みのことです。一般的に、定年まで正規雇用されていた人は契約社員や嘱託社員、パートタイマー、アルバイトなどの雇用形態で再雇用となります。
 
原則、定年退職日の翌日から雇用し、雇用期間の空白を作らないこととされているため、定年退職後から数ヶ月相当期間が経過した後の再雇用は認められない可能性がある点に注意が必要です。
 
再雇用制度は、本人の希望や企業の状況に合わせて、勤務時間や勤務日数などの労働条件を柔軟に変えられます。しかし、再雇用の内容が定年前の役職や役割から変更されやすく、賃金が下がる傾向があることが一般的です。
 
そのため、定年退職者本人の希望と会社の提示条件が合わない場合、不満が生じてモチベーションが低下する可能性があります。
 

「勤務延長制度」とは

勤務延長制度は、定年退職日以降も同じ雇用形態で働き続けられる仕組みのことです。雇用形態、役職、賃金、仕事内容などもほぼ変わらず、勤務期間が延長されるイメージで、本人がモチベーションを維持しやすいメリットがあります。
 
そのため、勤務延長した社員と再雇用した社員に不公平感が生じる可能性があります。会社にとっても全社員を勤務延長制度の対象にすると、人件費が増大したり、世代交代が進まない問題が発生したりするおそれもあるでしょう。
 

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定年後に導入される制度は「勤務延長制度」よりも「再雇用制度」の方が一般的

勤務延長制度を導入している企業は10.5パーセントに対し、再雇用制度を導入している企業が63.9パーセントにのぼることから、再雇用制度の方が一般的なようです。
 
定年後の「再雇用制度」は、本人の希望や企業の状況に合わせて、勤務時間や勤務日数などの労働条件を柔軟に変えやすい傾向があります。しかし、定年前の役職や役割から変更になり、定年退職予定者のモチベーションが低下するおそれもあります。
 
一方「勤務延長制度」は、定年退職日以降も同じ雇用形態で働き続けられる仕組みです。雇用形態や役職、賃金、仕事内容もほぼ変わらないため、シニア社員の不満が生じにくいメリットがあります。
 
各企業で定年引き上げや定年制の廃止措置を講じる努力が求められていることから、70歳までの継続雇用制度を有効に活用していきましょう。
 

出典

厚生労働省 令和4年就労条件総合調査の概況
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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