今は会社で「人間ドック」を受けていますが、定年後は「自費」ですよね?「費用」を抑えて「健康管理」する方法はありますか?
しかし、「費用がかかるから」と健診を先延ばしにしてしまうと、病気の早期発見の機会を逃してしまうおそれもあります。本記事では、定年後の健康診断を無理なく続けるために、利用できる制度や費用を抑える工夫についてわかりやすく解説します。
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目次
定年後の人間ドック、費用はどれくらい?「自費」で受ける場合の金額感は?
定年退職を迎えると、会社の健康保険制度が終了するため、人間ドックの費用は原則として全額自己負担になります。一般的な人間ドックの費用は3万円から5万円程度、脳ドックなどのオプションを付ければ10万円を超えることもあり、家計への負担は決して小さくないでしょう。
実際に、この費用負担が壁となり、健診から足が遠のいてしまう人は少なくありません。厚生労働省が実施した2022年の「国民生活基礎調査」によると、健診や人間ドックを受けなかった理由として、全体の約18.6%、つまりおよそ5人に1人が「費用がかかるから」と回答しています。
収入が落ち着く定年後の生活を考えると、この経済的な負担はより切実な問題と感じられる方も多いのではないでしょうか。ですが、自治体の制度や保険の仕組みをうまく活用すれば、その負担を軽減する方法も十分にあります。
定年退職後、人間ドックは「自己負担」?保険ごとの補助の違い
定年後に加入する健康保険の種類によって、人間ドックの補助や健診内容は大きく異なります。ここでは代表的な3つの制度について、それぞれの特徴や受けられる補助制度を紹介します。
「国民健康保険」の場合
多くの方が退職後に加入する「国民健康保険」は、住んでいる市区町村が運営していて、その自治体ごとに人間ドックの補助制度が用意されていることがあります。補助額は1万円〜2万円ほどが一般的ですが、対象年齢や年収によって条件が異なるケースもあります。
例えば2025年7月時点では、千葉県船橋市では、特定健康診査・後期高齢者健康診査の対象者に対し、1万3000円を上限に人間ドックの費用の一部を助成しています。
また、東京都千代田区では、利用可能な条件を満たすと、年度内(4月~翌年3月)に1回、上限2万円までの日帰り人間ドックの補助を受けることができます。
こうした制度の有無や内容は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の公式ホームページや窓口で確認しておくと安心です。
「任意継続被保険者制度」の場合
退職後も、しばらくは今までの会社の健康保険に入る「任意継続被保険者制度」を選択する方もいるでしょう。保険料は会社負担分がなくなるため全額自己負担となりますが、健康保険組合によっては在職中と同等の手厚い人間ドック補助を受けられるケースがあります。
国民健康保険料と比較して、保険料が高くなっても補助額を考慮すると結果的にお得になるケースもありますが、健康保険組合によって人間ドック補助の有無や内容は大きく異なります。詳細は加入予定の健康保険組合に確認しておくことが大切です。
「後期高齢者医療制度」の場合
75歳になると、すべての人が「後期高齢者医療制度」に切り替わります。この制度に入ると、年に1回、基本的な内容の健康診査を原則無料または数百円程度の自己負担で受けられるようになります。
さらに一部の自治体では、後期高齢者向けの人間ドック費用を独自に助成しているところもあります。対象者の年齢や所得制限がある場合もあるので、国保と同じように、お住まいの自治体の制度を一度調べてみるのがおすすめです。
受けられる制度はきちんと使いながら、ムリのない健康管理を続けていきましょう。
人間ドックの”おまかせ”ではなく「自分専用プラン」で費用を節約
定年後に利用できる補助制度を活用するのはもちろんですが、それだけでは費用を抑えきれないこともあります。そこで大切なのが、人間ドックの「中身」を見直すこと。検査項目を自分で選ぶことで、ムダな費用を減らしながら、必要な検査だけを効率よく受けることができる可能性もあります。
会社員時代は、決まった内容の人間ドックを「おまかせ」で受けていたという方も多いかもしれません。でも、費用を自分で負担する定年後は、ムダを省いて「必要な検査だけを選ぶ」ことが大切です。
例えば、国民健康保険に加入している方は、自治体の「特定健診」や「がん検診」(胃がん・肺がん・大腸がんなど)を無料または安価で受けられるケースが多く、まずはこれらを基本に組み立てるのが賢いやり方です。
さらに、家族にがんや心疾患の既往歴がある場合は、脳ドックや心臓のエコー検査など、リスクに応じたオプションを選ぶことで、ムダを省きつつ効果的な検査が可能になります。
「全部入り」の人間ドックでなくても、目的を明確にすれば、コストを抑えながら必要な健康チェックは十分に行えるでしょう。
定年後も無理なく健康管理を続けるために
定年を迎えると、これまで会社が負担していた人間ドックの費用も、自分で支払うことになります。検査の種類によっては高額になることもあり、健康維持にかかるコストが気になる方も多いでしょう。
ですが、加入している健康保険の制度や、自治体の補助をうまく活用すれば、費用を抑えながら必要な検査を受けることは十分に可能です。まずは、ご自身の保険制度やお住まいの自治体が提供している健診サービスについて調べてみましょう。
出典
e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 国民生活基礎調査 令和4年国民生活基礎調査
千葉県船橋市 人間ドック費用助成について
千代田区 人間ドックの補助を利用したいとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー