定年退職後は収入が減るので、50代で「年収400万円」の妻の扶養に入ったほうが「健康保険料」がかからずお得でしょうか?
その選択肢次第で、健康保険料の負担額が大きく変わる可能性があります。今回は定年退職後に加入できる各種健康保険のメリットやデメリットとあわせて、家族の扶養に入る場合について詳しく解説していきます。
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定年退職後の健康保険の選択肢
定年退職した後の健康保険には、大きく3つの選択肢があります。
会社の健康保険を任意継続する
退職前に加入していた会社の健康保険に、最長で2年間加入し続けられる制度です。なお、2年経過した後は、国民健康保険に加入するか家族の扶養に入る必要があります。
●これまでと同じ手厚い保険サービスを受けることができる
●家族を自分の扶養に入れることができる
●保険料が全額自己負担となるため、保険料が現役時代の約2倍になるケースが多い(任意継続の保険料に上限が設定されている場合は、保険料が安くなる可能性もある)
●保険料を滞納した場合、加入資格を失う
国民健康保険に加入する
市区町村が運営する保険制度で、自営業やフリーランス、無職の人を主な対象とするサービスです。保険料は前年度の所得や居住している自治体によって異なります。
●単身で所得が少ない場合、保険料の負担を抑えられる可能性がある
●扶養という仕組みがないため、世帯人数が多いと保険料が高額になる
家族の扶養に入る(被扶養者になる)
現役で働いて生計を維持している配偶者などの健康保険に扶養として入ることで、健康保険に加入することができます。
●保険料の負担がゼロ
●扶養に入るためには収入要件があり、加入できないケースもある
家族の扶養に入るには、収入面の条件がある
上記の内容を踏まえると、定年退職後の金銭的な負担を低くするためには、家族の扶養に入ることが最も効果的といえるでしょう。
しかし、扶養に入るためには、被保険者の収入で生計を維持していることが必要条件です。全国健康保険協会(協会けんぽ)では、以下のような基準を設けています。
●年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)
●同居の場合、年間収入が130万円未満で、被保険者の収入の半分未満であること
※本条件を満たさなくても、被保険者の年間収入を超えない場合は扶養に入れる可能性あり
●別居の場合、年間収入が被保険者からの仕送り額より少ないこと
上記の「年間収入」には、雇用保険の失業給付や年金も含まれます。自身の年金見込み額やほかの収入を確認し、扶養に入ることが可能な収入かどうかを確認するようにしましょう。
例えば、自身の年齢が60歳で同居する妻の年間収入が400万円の場合、自身の収入が180万円未満であれば、妻の健康保険に扶養として入ることができます。
厚生労働省「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2023年度の厚生年金の平均受給額は、年間175万7148円です。つまり、受給予定の年金額が平均程度であれば、年収400万円の妻の扶養に入れる可能性は高いでしょう。
家族の扶養に入ると、健康保険料の負担額をおさえることができる
被扶養者として認定される条件を満たしていれば、退職後に家族の扶養に入ることで健康保険料の負担をゼロにおさえることができます。
家計からの支出を最適化して、退職後の生活を安定させるためにも、健康保険の選択肢はしっかりと検討してベストな制度を選択することが大切です。
出典
厚生労働省 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(10ページ)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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