要介護1の父(82歳)を施設に入れたいです。父が受給している「月12万円」の年金で足りますか?
そのため、在宅で、場合によっては一人暮らしを続けているケースも多いようですが、居宅サービスを利用したり、施設に入居したりする方もいらっしゃいます。
本記事では、要介護1の方が施設に入居する場合の大まかな費用について確認していきます。
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
要介護1の支給限度基準額
介護保険制度の利用者負担は、介護サービスにかかった費用の1割(一定以上所得者は2割又は3割)となっています。仮に10万円分の介護サービスを利用した場合に利用者が負担する費用は、1万円ということです。
また、介護保険の対象となる方の要介護度の7区分(要支援1・2、要支援1~5)に応じて、居宅サービスを利用する際の1ヶ月当たりに利用できるサービスの量(支給限度基準額)が定められており、要介護1の場合には、16万7650円が上限となります。
この上限額の範囲であれば1割負担で介護サービスを利用できますが、限度額を超えた額については全額自己負担となります。さらに、施設サービスを利用する場合には、1割負担の施設サービス費のほかに、居住費、食費、日常生活費、消耗品費などの費用が必要となります。
要介護1で利用できるサービス
介護保険制度において要介護度によって、利用できるサービスや利用可能な施設が決められています。施設を利用する場合には、介護老人保健(老健)施設や介護医療院などへの入居をはじめ、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームなどが選択肢になります。
介護施設は公営と民間とに分類され、それぞれの介護度や利用目的に応じてさまざまな種類があります。また、入居費用は大まかに入居一時金と月額費用に分類されますが、施設の種類によって大きく異なります。
どの施設に入所するか、どのサービスを利用すべきかなどについては、地域包括支援センターに相談することをお勧めします。センターでは申請手続きだけでなく、介護全般についての相談にも乗ってくれます。
平均的な月額介護費用は?
公益財団法人生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、平均的な介護期間(介護を始めてからの期間)は、55.0ヶ月(4年7ヶ月)となっています。
要介護1の場合の介護を行った場所は、80.6%が在宅、19.4%が施設となっており、介護対象者のうち公的介護保険を利用したことがある人は11.3%でした。
また、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担分を含む)の平均月額は9万円という結果でした。介護を行った場所別では、在宅で5万2000円、施設で13万8000円です。ちなみに、要介護1の平均介護費用月額は5万4000円となっています。
まとめ
要介護1の方が年金12万円の範囲で施設に入所し、月額介護費用を賄える可能性は十分あります。ただし、利用サービスや入所施設の種類(公営、民間、地域など)になどよって介護費用が異なります。
もちろん、要介護度がより高くなると在宅介護が困難となるケースも想定されます。また、施設に入所する際には、入居一時金がかかる場合がほとんどです。
民間の介護付き有料老人ホームでは数千万~数億円の一時金が必要となる場合もあるため、適切なアドバイスを受けながら施設を選定することをお勧めいたします。まずは、地域包括センターに相談することから始めましょう。
出典
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 サービスにかかる利用料
公益財団法人生命保険文化センター 2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー