老後も「一人暮らし」なので、「年金だけ」で暮らしていけそうです。正直のんびりしたいのですが、「65歳以降」も働き続けたほうがよいのでしょうか?
今回は、本当に年金だけで暮らせるのか、他の人はどうしているのかなど、気になるポイントを整理しながら考えてみましょう。
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目次
年金だけで老後の生活費は足りるか
老後の一人暮らしに必要な生活費について、国や大手企業の調査ではさまざまなデータが公表されています。総務省の家計調査によれば、65歳以上の単身高齢者の消費支出は、月平均で14万9286円となっています。
では、この支出を年金だけで賄えるのでしょうか。結論から言うと、平均的なデータを見るかぎり、毎月の暮らしはやや赤字傾向にあるようです。同調査によると、65歳以上の単身無職世帯では、1ヶ月の収入と支出の差がマイナス2万7817円でした。こうした赤字分は、貯蓄を取り崩してやりくりしているケースが多いようです。
なぜこのような差が生まれるのか、収入と支出の内訳を詳しく見てみましょう。
まず、実際に使える手取り収入にあたる「可処分所得」は月平均で12万1469円です。 この可処分所得の元となる収入の9割以上は、年金などの「社会保障給付」(12万1629円)によって占められています。
支出の内訳を見てみると、大きな割合を占めるのは食費(約4万円)です。注目すべきは住居費で、平均では約1万3千円と低めですが、これは調査対象に持ち家の人が多く含まれているためです。
もし賃貸住宅に住んでいる場合、この住居費はさらに高くなる可能性があり、毎月の赤字額は平均よりも大きくなることが考えられます。自分の状況に合わせて、これらのデータを参考に資金計画を立てることが重要でしょう。
65歳以上で働く人はどれくらい?データで見るシニアの就労実態
シニア世代の就労状況を把握するために、まずは実際に65歳を過ぎてから働いている人の割合を見てみましょう。
内閣府の「令和7年版高齢社会白書」で引用されている総務省「労働力調査」によると、2024年における65~69歳の就業率は53.6% 、70~74歳では35.1% です。これらの数字は、10年前の2014年と比べていずれも10ポイント以上の大幅な上昇です。
同じく高齢社会白書では、日本における高齢者の一人暮らしの割合も増加傾向にあるとしています。2020年の調査では、65歳以上の男性の15.0%、女性の22.1%が一人暮らしという結果でした。
これらのデータからは、一人で老後を迎えながらも働き続けるというライフスタイルが、近年の日本においてごく一般的なものとなりつつあることがうかがえます。
シニアが働く理由は“お金”だけじゃない?データで見る本音と働き方の工夫
シニア世代が働く理由には、「お金のため」以外にもさまざまな事情や思いがあるようです。では実際に、どのような理由で働き続けているのでしょうか。高齢社会白書のデータをもとに見ていきましょう。
高齢者が働く主な理由として最も多いのは「収入のため」で、全体の55.1%を占めていました。その一方で、「仕事を通じて健康を保ちたい」「老化を防ぎたい」といった健康面のメリットを理由に挙げる人も3割弱にのぼります。
また、仕事選びの基準としては、給与水準よりも「経験やスキルが生かせる」「通いやすい」「やりがいがある」「体力的な負担が少ない」といった、自分に合った無理のない働き方を重視する人が少しずつ増えている点にも注目でしょう。
65歳以降も「自分に合った働き方」を選ぶことで安心を
一人暮らしの高齢者の中には、年金だけでつつましく生活している方もいますが、実際には生活費が不足していると感じる方も少なくありません。そうした中で、できる範囲で働き続けることは、毎月の収入を補うだけでなく、貯蓄の取り崩しを先延ばしにすることにもつながります。
また、働くことは経済面の安定だけでなく、心身の健康を保ち、社会とのつながりを維持するうえでも効果的とされています。将来の支出や健康状態を見据えながら、自分に合った働き方を見つけることで、老後の不安を和らげ、経済的にも精神的にもゆとりのある暮らしを目指せるでしょう。
出典
内閣府 令和7年版高齢社会白書
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー