65歳以降「本当に」必要なお金はいくら? 年金だけで暮らしていくのは大変なの?

配信日: 2025.07.25 更新日: 2025.10.21
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65歳以降「本当に」必要なお金はいくら? 年金だけで暮らしていくのは大変なの?
定年を迎えると、時間的なゆとりが生まれる一方で、収入面では現役時代のような給与収入がなくなり、生活の支えが限られます。
 
加齢にともなって医療費や生活支出の内容も変化しやすく、働いていた頃とは異なる家計の管理が求められます。実際、多くの家庭では退職後の主な収入源が年金に限られており、「年金だけで今後の生活を維持できるのか」と不安を感じている人もいるでしょう。
 
この記事では、定年後における収支バランスや必要な備えについて、平均的な家計収支のデータをもとに確認していきます。特に、支出と収入の差額がどの程度あるのか、生活の質を維持するためにはどのくらいの資金を準備しておくとよいのか考えていきます。
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定年後の主な支出とは

総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月あたりの実収入は25万2818円、そのうち社会保障給付は22万5182円で全体の89.1%を占めています。
 
一方、消費支出は25万6521円、さらに税金や社会保険料などの非消費支出が3万356円あり、全体としては月約3万4000円の赤字です。
 
支出の内訳を見ると、最も割合が大きいのは食料費(29.8%)です。次に大きいのがその他の消費支出(20.4%)で、この中には交際費(9.3%)が含まれます。そのほか、交通・通信費(10.8%)、教養娯楽費(9.9%)、光熱・水道費(8.5%)、保健医療費(7.2%)といった項目も一定の比率を占めています。
 
これらはいずれも生活に密接に関わる支出であるため、大きく減らすことは現実的ではありません。また、住居費の割合は6.4%です。これは持ち家に住んでいる世帯が多いためと考えられますが、賃貸住宅で暮らす場合は、この割合が上昇する可能性があります。
 
住居については、その形態によって家計への影響は大きく異なるため、慎重な検討が求められます。
 

公的年金と生活費の差をどう埋めるか

日本年金機構によれば、令和7年度からの年金支給額は、老齢基礎年金(満額)が月額6万9308円に引き上げられました。平均的な収入で40年間就業した場合の標準的な厚生年金の受給額(老齢厚生年金と夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は、月額23万2784円です。
 
一方、支出は、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、既出のとおり、1ヶ月の消費支出が平均25万6521円で、これに税金や社会保険料などの非消費支出が約3万円かかり、合計で約28万7000円に達します。標準的な厚生年金の受給額との差は毎月およそ5万円です。
 
この不足額が20年続くと、単純計算で約1200万円の備えが必要になると計算できます。医療費や物価上昇の可能性を考慮すると、ゆとりのある備えが望ましく、老後資金は早めに確保したいところです。
 

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老後資金は、どう確保すべきか

老後資金は、退職金や長年の貯蓄、さらには資産運用などで賄うことが一般的です。最近では、老後資金形成の手段としてiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などの制度の活用も注目され始めています。これらの制度には税制上の優遇措置があり、長期的な資産形成に適しています。
 
また、定年後に再雇用やパートタイム勤務などで就労を継続する選択も視野に入れることで、年金だけに頼らない収入源の確保が可能です。現役時代から生活費の見直しを行い、将来の支出を見据えた家計管理を実践しておくことが、老後の安心につながります。
 

年金だけに頼らない備えが安心につながる

定年後の生活では多くの家庭で年金が主な収入となりますが、総務省統計局の「家計調査」によれば、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における平均的な家計収支においては、支出のほうが標準的な年金額を上回っています。公的年金だけでは毎月の生活費をすべてカバーできない可能性が高く、不足分を補うための備えが必要です。
 
必要な老後資金の額は生活スタイルなどによって異なりますが、今回試算した不足額から考えると、公的年金以外で1200万円以上というのがひとつの目安となりそうです。物価の変動や医療費の増加を見据え、長期的な視点で準備を進めることが、将来の不安を軽減する第一歩といえるでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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