退職金「2000万円」を手に入れた父が「定期預金が堅実」と言っていますが、運用のほうがいいですよね? 20年間「預ける・運用する」場合、どれだけの差になるのでしょうか?
本記事では、2000万円の退職金を定期預金に回した場合と、資産運用した場合の2つの方法で比較し、それぞれのメリット・デメリットを整理したうえで、老後資金の最適な活用方法を考えていきます。
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65歳で退職しても人生はまだ長い
日本人の平均寿命は男性で81歳、女性で87歳を超えています。また、65歳時点での平均余命は、男性で約19.5年、女性で約24.4年とされており、退職後も20年以上の生活が続く可能性があります。
退職後の主な収入源となるのは公的年金ですが、夫婦2人世帯の厚生年金収入は月平均23万円前後であり、実際の生活費との差を貯蓄などで補う必要があります。
かつて金融庁の金融審議会が示した「老後資金2000万円問題」は、まさに年金だけでは老後の生活費が不足する現実を示したものです。長寿化が進む今、退職金の使い方が老後の安心を大きく左右することは間違いありません。
退職金2000万円を「定期預金」に預けると?
定期預金は元本が保証されており、資産を安全に保管できる方法として広く利用されています。特に退職金のようなまとまった資金では、「減らしたくない」という心理から定期預金を選ぶ人も多いでしょう。
現在、メガバンクの10年物定期預金の金利は最大で年0.50%程度と、以前に比べやや上昇傾向にあります。仮に2000万円を年0.50%の金利で20年間運用すると、複利効果により総額は約2210万円となります。
しかし、この20年のあいだに物価がどんどん上がっていくと、2000万円という「額面の数字」は変わらなくても、価値は確実に減り、実質的な購買力は下がってしまいます。定期預金には元本割れの心配がないという安心感がありますが、インフレや長寿化に備えるには、増えないリスクにも目を向ける必要があります。
退職金2000万円を「運用」した場合は?
2000万円を資産運用に回した場合、長期投資によって大きなリターンが期待できます。例えば、年利3%で20年間複利運用すると、資産は約3612万円にまで増加します。
もちろん、運用には市場の変動によるリスクも伴います。資産が一時的に減少することもあり、全額を運用に回すのは現実的ではありません。そのため、日々の生活費など必要な資金は定期預金などの安全資産として確保し、残りを長期投資に回すといった目的別の資産配分が重要になります。
さらに、投資先を分散することでリスクを抑えながら、安定した資産形成を目指すことも可能です。
定期預金vs運用、どちらを選ぶ?
定期預金は元本が保証されており、安心感がある反面、資産を大きく増やすことは期待できません。一方、運用はリターンが期待できるものの、元本割れのリスクがつきものです。
重要なのは、どちらが正しいかではなく、自身のライフプランや資金の使い道に応じて、最適な方法を選ぶことです。例えば、数年以内に使う予定の生活費や医療費は、定期預金に預けて元本割れを防ぎ、10年以上先に使う予定の資金は運用に回すなど、資産を目的別に分けて管理することが効果的です。
また、リスク許容度や家計の状況、家族構成なども考慮し、無理のない範囲で運用を取り入れることが大切です。
まとめ
65歳で定年退職を迎えても、平均寿命を考慮すれば老後は20年以上続くことが見込まれます。公的年金だけでは生活費が不足する場合も多く、退職金の使い方が老後の暮らしを大きく左右します。
定期預金と資産運用にはそれぞれにメリットとリスクがあるため、目的や期間に応じてバランスよく使い分けることが大切です。老後資金を賢く活用するためにも、早めに情報を集め、自分に合った資産管理を考えることが、安心できる老後の第一歩となるでしょう。
出典
厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況
厚生労働省 令和7年度の年金額改定について
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー