年金だけで生活できなかったら“生活保護”が受けられると聞きました。生活保護と年金の併用ができるのはどんな条件が必要ですか?

配信日: 2025.07.29 更新日: 2025.10.21
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年金だけで生活できなかったら“生活保護”が受けられると聞きました。生活保護と年金の併用ができるのはどんな条件が必要ですか?
「年金だけでは生活が成り立たないけれど、生活保護を受けてもいいのだろうか……?」
 
高齢化社会の進行により、こうした悩みを抱える人もいるのではないでしょうか。生活保護と聞くと「本当に困っている人しか受けられないのでは?」と感じるかもしれませんが、実は年金を受け取っていても生活保護を受けられるケースがあります。
 
そこで本記事では、年金と生活保護の併用が認められる条件や、具体的な手続きについて解説します。
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年金だけでは生活ができない人は生活保護を受けられる?

年金は老後の大切な収入源ですが、金額は人によって異なります。厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金だけを受け取っている高齢者の平均受給額は月5万7700円です。家賃や光熱費、医療費を払うと、この金額では生活費は足りないという人も少なくありません。
 
そのようなときに頼れるのが、「生活保護制度」です。生活保護は、最低限度の生活を保障するために設けられている制度で、年金を受給している人でも生活が困窮していると認められれば受けられる可能性があります。
 
つまり、年金だけでは生活ができない人は、生活保護の対象になる可能性があるということです。
 

生活保護と年金は併用できる? その仕組みと条件

生活保護と年金は併用できますが、誰でも受けられるわけではありません。生活保護と年金を併用して受給するためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。
 

1. 年金を含む収入が「最低生活費」を下回っていること

生活保護では、住んでいる地域や家族構成に応じて「最低生活費」が決められています。例えば、東京都23区に住む単身高齢者の場合、月の最低生活費は約13万円とされます。
 
年金収入が月9万円だとすると、約4万円分の不足があります。この不足分が「生活保護費」として支給されます。つまり、年金をもらっていても、その金額だけでは暮らせないと判断されれば、差額分を支給してもらえる仕組みです。
 

2. 年金以外の収入および資産がないこと

預貯金や株、不動産などがあれば、まずそれらを生活費にあてることが求められます。最低限の生活に必要な資産(住まい・家具など)以外は、生活保護申請前に処分するよう指導されることがあります。
 

3. 扶養できる親族がいない、または援助が受けられないこと

生活保護の申請時には「扶養照会」といって、家族や親族に援助ができるかどうか役所が確認します。実際には、多くのケースで援助が困難と判断され、生活保護が認められています。
 

4.他に利用できる制度がないこと

生活保護は、公的な他の支援制度(失業手当、児童扶養手当、年金など)をすべて利用してもなお、生活の維持が困難な場合に受給できる最後のセーフティーネットです。したがって、これらの他の制度が利用できる場合は、まずそちらを優先して活用しなければなりません。
 

5. 働ける人は就労努力が求められる

高齢者や病気で働けない人は問題ありませんが、就労可能と判断されれば、就職活動などを求められることがあります。
 

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年金受給者が生活保護を申請する流れ

生活保護の申請をしたいと考えている年金受給者の方は、まずどのような手順で進めるのかを知っておくことが大切です。実際に生活保護を申請する流れは、以下の通りです。
 

1. 市区町村の福祉事務所に相談する

まずは、電話や窓口で相談しましょう。現在の収入や生活状況を伝え、受給の可能性を確認します。
 

2. 必要書類をそろえる

年金受給額が分かる書類(年金証書・振込通知書など)や、預貯金通帳、家計簿、家賃の支払い明細などが必要になります。
 

3. 調査と面談を受ける

福祉事務所のケースワーカーが、自宅訪問や面談を行い、生活実態を確認します。
 

4. 審査後、認定されれば支給開始

審査に通れば、年金額を差し引いた不足分が毎月支給されます。日常生活に必要な費用は、生活扶助といわれます。あわせて、医療費の支援(医療扶助)や家賃補助(住宅扶助)、介護費の支援(介護扶助)なども受けられることがあります。
 
申請から支給まで通常2週間~1ヶ月程度かかりますが、状況によってはさらに時間がかかる場合もあります。そのため、早めに相談・準備を始めておくと安心です。
 

年金と生活保護は併用可能。困ったときは一人で悩まず相談を

年金をもらっているからといって、生活保護が受けられないわけではありません。むしろ、生活が苦しいならば、制度をうまく活用することで安心して暮らせるようになります。
 
ただし、生活保護の受給には、収入が最低生活費に足りないことや資産がないことなど、いくつかの条件を満たす必要があります。また、生活保護を申請する際は、年金など他の制度を優先的に活用していることが前提となりますので、その点は注意が必要です。
 
「生活保護なんて……」とためらう必要はありません。制度は、困っている人を助けるためにあるものです。生活に不安を感じたら、まずはお住まいの福祉事務所に相談してみましょう。相談は、無料で誰でもできます。一人で抱え込まず、使える制度を知って、安心できる生活を目指しましょう。
 

出典

厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 生活保護制度の概要等について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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