退職後に“再雇用”されたら月給は「30万円」以下!? これって普通なの?
今回は、再雇用者の平均給与をご紹介します。また、再雇用で働くと、どのくらい老後資金が増えるのか試算してみます。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
再雇用者の実態
まず、厚生労働省が公表している資料から、現在の高齢者の雇用状況を見ていきます。
令和6年「高年齢者雇用状況等報告」で、定年制の状況を定年年齢別に見ると、定年を60歳とする企業は64.4%で最も高くなっています。定年を65歳とする企業は、25.2%です。
また、70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は、全体の31.9%となっています。さらに、全企業の86.2%が、希望者全員を対象とする再雇用を行っていることが分かりました。
再雇用者の平均給与
では、次に、再雇用者の平均給与を見ていきます。人事院が公開している「令和6年職種別民間給与実態調査」(表6 再雇用者の職種別従業員数、平均年齢及び平均支給額)によると、再雇用者の給与は職種によって大きく異なります。以下で主な職種について、再雇用者の給与を確認していきましょう。
支店長・工場長:68万1953円
事務・技術部長:60万300円
事務・技術課長:50万3927円
事務・技術係長:34万8345円
事務・技術係員:30万875円
このデータによると、支店長や工場長クラスの再就職後の給与は月約68万円となっています。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、日本の平均給与は33万400円なので、支店長や工場長クラスはそれと比較しても高水準となっていることが分かります。
また、係長や係員の立場では、日本の平均給与に近い、月平均約30~35万円となっています。
再就職して働くとどのくらい老後資金が増える?
本章では、再雇用で5年、10年と働き続けた場合、老後資金がどのくらい増えるのか簡単に試算してみましょう。
例えば、65歳から再雇用により手取り月20万円もらえたとすると、以下の通りとなります。
<65歳から70歳まで5年間働く場合>
20万円×12ヶ月×5年間=1200万円
<65歳から75歳まで10年間働く場合>
20万円×12ヶ月×10年間=2400万円
このように、5年間働くだけで1200万円も老後資金を増やせます。年金や今までの貯蓄にこの1200万円が加われば、経済的に大きな余裕が生まれるでしょう。それにより、老後に旅行したり、趣味を楽しんだりする資金を確保できます。
さらに10年働けば、2000万円以上の資金を確保することも可能です。もちろん、体調を見ながら仕事を続ける必要がありますが、まだ体が元気なうちは少しでも長く働き続けることを意識するとよいでしょう。
まとめ
現在では人手不足を解消するために、多くの会社が積極的に再雇用を行っているようです。これから定年退職をする方は、退職後の働き方について、事前に検討しておくとよいでしょう。
そして、経済的にはもちろん、精神的にも健康的にもよりよい老後の生活を過ごすために、長く働き続けることを目標としてみましょう。
出典
厚生労働省 令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します
人事院 民間給与の実態(令和6年職種別民間給与実態調査の結果) 表6再雇用者の職種別従業員数、平均年齢及び平均支給額
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査
執筆者 : 下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者