70代の父は“免許返納”を検討中。車を手放せば年間「数十万円」浮く一方で、移動費はどれくらい増えるのでしょうか?
この記事では、車を持ち続ける場合にかかる費用と、免許返納後に増える可能性がある移動費を具体的に比較します。さらに、移動費を抑える自治体の支援制度についても紹介しながら、「本当に手放すべきか? 」を一緒に考えていきましょう。
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目次
車を持ち続ける場合、年間どのくらいかかる?
警視庁によると、令和5年の運転免許の自主返納件数は約38万件でした。物価高の影響も相まって、自主返納する人が増えているようです。実際に、車を維持するには、想像以上にお金がかかります。たとえば軽自動車でも、以下のような費用が発生します。
・自動車税(軽自動車)
年間約1万800円。普通車は2万5000円以上(車種・排気量による)。
・車検代
2年ごとに約4万5000〜10万5000円(年平均約2万2500〜5万2500円)。
・自動車保険(任意)
年間約5万円前後が目安(契約内容・年齢・等級によって大きく変動)。
・ガソリン代
月7000〜9000円(年間約8万1000〜10万円)。走行距離や燃費による。
・駐車場代(地域差あり)
月約1万〜2万円(年間約12万〜24万円)。地方ではさらに下がることも。
すべて合計すると、軽自動車なら年間25万〜38万円ほど。普通車や都市部では40万〜60万円以上かかることもあります。
車を手放すことで「年間20万円以上の節約」になるのは大げさではありません。車を使う頻度が減ってきた高齢者にとって、これは大きな節約になります。
免許返納後の移動費はどう変わる? 公共交通とタクシーの試算
免許返納後は、どれくらい移動費がかかるのでしょうか。生活スタイルごとに試算してみましょう。
【ケース1】電車・バス中心の生活(都市部)
通院や買い物などで週3回、電車やバスを利用した場合、1回あたりの交通費は片道300円程度(往復600円)、月12回 × 600円で月7200円、年間では約8万6000円が目安です。
【ケース2】タクシーを併用する生活(地方)
通院などで週2回タクシーを利用し、買い物はバスで移動する場合、タクシーは1回あたり1000〜2000円(往復2000円前後)、月8回で月1万6000円、年間約19万2000円となります。なお、自治体によってはタクシー料金の1割引き〜2割引き等の特典がある場合もあります。
このように、免許返納後の移動費は生活環境や利用頻度によって大きく異なります。
都市部では公共交通が充実しているため、年間10万円前後に抑えられることもありますが、地方ではタクシーの利用頻度や距離によって15万〜20万円、場合によってはそれ以上かかることもあります。
自治体や制度の支援を活用すると移動コストを抑えられる
免許を返納したあと、多くの自治体で高齢者の移動支援制度が設けられていますが、内容や有無は地域により異なります。
たとえば、運転経歴証明書を提示することで、市町村運営のコミュニティバス等で運賃が半額や割引になる地域があります。ほかにも、タクシー券(例:500円×12枚など)を年1回配布する自治体もあるので、お住まいの自治体に確認してみましょう。
車を手放すメリットと補完策を考えて判断を
免許返納には、安全面だけでなく金銭面のメリットもあります。年間20万円以上かかっていた車の維持費がなくなり、代わりに移動費が月1〜2万円増える程度であれば、生活全体ではプラスになる可能性が高いです。
もちろん、住んでいる地域や家族構成によっては「まだ手放さない方が便利」という判断もあるでしょう。ただ、最近は「タクシーの定期券サービス」や「送迎付き買い物支援」など、高齢者の移動を助ける新サービスも登場しています。
免許返納は“終わり”ではなく、“新しい生活スタイルの始まり”です。家族と一緒にライフスタイルや費用を見直し、無理のない範囲で移動手段を組み合わせることで、安心で快適な毎日が続けられるでしょう。
出典
警視庁 運転免許の申請取消(自主返納)件数と運転経歴証明書交付件数の推移
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー