親の通帳を勝手に使っていたら“成年後見人”が登場! 息子なのに「親の財産」を自由に使えないってなんで? 家族でもお金の引き出しがNGなケースとは

配信日: 2025.08.05 更新日: 2025.10.21
この記事は約 3 分で読めます。
親の通帳を勝手に使っていたら“成年後見人”が登場! 息子なのに「親の財産」を自由に使えないってなんで? 家族でもお金の引き出しがNGなケースとは
「親のために使ったつもりだったのに、なぜ問題に?」
 
高齢の親の介護などのため、その親の通帳から子どもがお金を引き出していたところ、「成年後見人」によって、利用が制限されることがあるようです。家族なのに、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
 
本記事では、親のお金を扱ううえで知っておきたい、成年後見人の存在について解説します。
柘植輝

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

親の通帳は「親のもの」。息子でも勝手に使えない

親が認知症を患っていたり、判断能力が低下していたりする場合でも、子どもが勝手に親の通帳を使ってお金を引き出す行為は、法的には「横領」「窃盗」などと見なされる可能性があります。
 
なぜなら、親子であっても、それらは不法行為であることに変わりなく、損害が出ている以上、その賠償をしなければならないからです。
 
刑法上の罰則は、「親族相盗例」というルールによって、親子間の窃盗などは処罰が免除されるのですが、それは民事上の賠償責任とは異なるため、親子間なら大丈夫という認識は間違いです。
 
とはいえ、親子間であれば、暗黙の了解や事後の承諾があるということは珍しくなく、よほど悪意がない限りは、一般的に必要な範囲であれば問題となることは少ないでしょう。
 

「成年後見人」とは? 息子であっても「財産管理を任されない」理由

では、前章で解説した原則を基に、成年後見人というものについてみていきましょう。成年後見人とは、病気や加齢などで物事の事理を弁識する能力を欠く方を保護するため、選任されるものです。
 
一度、親に成年後見人が決定されると、以後、親の財産は本人に代わって成年後見人が管理することとなります。このような場合、選任された成年後見人が親の口座を管理し、一定の例外を除き、本人やその子どもであっても、勝手に通帳や口座に触れられなくなるのです。
 
つまり、今まで簡単に事後報告で「必要なものを買っておいたよ」で済んでいたものも、そうはいかなくなるのです。
 
なお、成年後見人は、家庭裁判所によって選任されるのですが、子どもがいたとしても、必ずその子どもが選ばれるとは限りません。その人の経済状態などあらゆる状況を考慮して、最も適任な者が選任されるからです。
 
特に、親の財産をすでに私的に使っていたり、使途が不明確な支出があったりする場合、家庭裁判所が「利益相反の恐れあり」として、子どもを成年後見人に選ばない判断を下すことがあります。
 

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

まとめ

「親のことだから子どもである自分がやるのは当然」という考え方が、思わぬ法的トラブルを招くことがあります。成年後見制度による選任は、親の財産を守るための法的な手段であり、一度選任されると、その後はたとえ本人であってもお金を自由に使える範囲が制限されてしまいます。
 
成年後見人がどういう存在かについて知っていないと、親の生活を支えるつもりが、結果的に親の信用や財産を損なう事態になりかねません。それを避けるためにも、正しい知識と法的手続きを踏まえて行動することが大切です。
 
家族だからこそ「慎重な管理」を心がけることが、親子関係と老後の安心を守る鍵になります。
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問