年金「月15万円」の人が70歳まで働いたら?収入の差と「安心度」を比較検証
しかし、一方で「老後も働くことは大変なことではないのか?」「70歳まで働くことでどんなメリットがあるのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。
そこで、この記事では70歳まで働くことのメリットを解説します。
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
経済的なメリット
70歳まで働くことの主なメリットは、収入を確保し、老後の不安を軽減させることにあります。特に、老後の生活資金を確保できる点は、非常に大きなものです。
例えば、年金額が毎月15万円という場合、なかなかそれだけで生活するのは難しいかもしれません。しかし、フルタイムで働き20万円ほどの収入を得て、年金と合わせて35万円の収入で毎月暮らすことができれば、年金だけで暮らす場合に比べてかなりの余裕ができます。
特に「老後は年金と合わせて、資産の切り崩しで生活していこう」と考えている場合、資産をより長持ちさせることができ、老後の不安を大きく軽減できるでしょう。
また、併せて「繰下げ受給」を検討できるようになるのも大きいでしょう。繰下げ受給とは、年金の受け取り時期を65歳より後に遅らせると、1ヶ月当たり、0.7%増額された年金額を受けられるようになる仕組みです。最大で75歳まで繰り下げることができます。
例えば、65歳時点の年金が月15万円だった場合、70歳まで繰り下げると、月21万3000円になります。繰下げ受給によって増額された金額は一生涯変わらないため、長生きするほど得をする仕組みになっています。
健康面のメリット
70歳まで働くことは、健康面にもメリットがあります。働くと通勤や仕事中の業務的な対応など、家にいるよりも体を動かす機会が増え、運動不足を防ぐことができます。特に、デスクワークではなく、軽い肉体労働や接客業の方が健康維持により効果的にはたらくことでしょう。
加えて、働くことで脳を使い続けることができ、認知症予防につながったり、新しいスキルを身に着け自己肯定感が高まったりして、精神的な健康も得られるかもしれません。
社会的メリット
働いている間は考えもつかないかもしれませんが、仕事は意外にも社会とのつながりを感じられる、重要な場となっていることがあります。また、仕事を通じて社会貢献できていることを意識でき、それがひとつの生きがいや日々の活力となることもあります。
特に近年では定年後何をすればいいのか悩んだり、孤独を感じたりして、「社会から必要とされていないのではないか」と思う方の存在も、各種メディアで取り沙汰されており、一種の社会問題とされています。
そういった「お金」や「健康」といった面から切り離した、ある意味では解決が難しいともいわれる精神的な側面を解決できる可能性もあり、定年後70歳まで働くことのメリットは軽視できないでしょう。
まとめ
70歳まで働くことには、収入や年金を増やすという経済面のメリットがあるだけではなく、運動不足の解消などの健康にもよく、加えて生きがいを得ることや社会的孤立を防ぐことにもつながると考えられます。
「老後はのんびり過ごしたい」と思う人も多いものの、70歳まで働くことで、経済的な安定、健康の維持、社会的なつながりを得ることができる点を知っておくべきでしょう。
もちろん無理をする必要もありませんが、「長く働くことで得られるメリットがある」ということを理解し、自分に合った働き方を考えてみてください。
70歳まで働くことは、決して苦しいことではなく、人生の選択肢を増やし、豊かな老後を実現するための手段のひとつとなるでしょう。
執筆者 : 柘植輝
行政書士