「退職金1000万円」もらっても安心できない?老後の生活費「本当は」いくら必要?

配信日: 2025.08.10 更新日: 2025.10.21
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「退職金1000万円」もらっても安心できない?老後の生活費「本当は」いくら必要?
「退職金1000万円もらったら、もう老後は安心」。そんなふうに考えていませんか?
確かに、1000万円という金額は大きな安心材料のように感じられます。しかし、実際に老後の生活費や医療費、想定外の支出を考えると、「意外と足りないかも?」と感じる場面も出てくるかもしれません。
 
この記事では、「退職金1000万円は本当に十分なのか?」という疑問に向き合いながら、老後の生活費のリアルを分かりやすく解説します。
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老後の生活費は月いくらかかる?

まずは、老後にかかる基本的な生活費の目安から見ていきましょう。総務省の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の月の実収入は25万2818円、実支出は28万6877円であり、月3万4059円の赤字が出ていることが分かります。
 
この赤字は年額で41万円ほどです。仮に夫婦が65歳で退職し、90歳まで生きるとすれば、41万円×25年=1025万円ほどの不足額が生じる計算になります。
ここで注目したいのは、「年金だけでは生活費をまかなえない家庭が多い」という現実です。
 

実はもっとかかる? “想定外”の出費も要注意

退職金や年金だけで生活設計を立てると、見落としやすいのが「突発的な支出」です。
老後は一定の生活費だけでなく、思わぬタイミングでまとまったお金が必要になることがあります。以下は特に注意しておきたい代表的な項目です。
 

医療費・介護費は継続的にかかる可能性も

高齢になるにつれ、病気やけがのリスクは避けられません。日本には「高額療養費制度」などの公的保障がありますが、それでも入院や通院、リハビリなどで定期的に自己負担が発生するでしょう。
また、要介護となれば、介護保険の利用があっても月数万円〜十数万円の自己負担が必要になるケースも考えられます。
訪問介護や施設入所など、選ぶサービスによっては費用がかさむこともあるため、医療・介護に備えた資金は不可欠です。
 

住まいの修繕費はまとまった出費になることも

持ち家に住んでいる場合、老後でも修繕は避けられません。特に以下のような出費が考えられます。

●屋根や外壁の塗装・補修:50万〜150万円
●給湯器・トイレ・キッチンなどの設備交換:10万〜50万円
●バリアフリー化(手すり設置、段差解消など):20万〜数十万円

築年数が古くなるほど、こうしたリフォームが必要になるため、定期的な修繕費として100万円以上を見込んでおくべきでしょう。
 

子ども・孫への支援が必要になる場合も

自分たちの老後費用だけでなく、子や孫からの支援要請に応じるケースも多く見られます。

●子どもの結婚資金や出産祝い
●孫の進学に伴う学費の援助
●住宅購入時の頭金支援

これらは「してあげたい気持ち」が強く働くものですが、数十万円〜数百万円単位の出費になることもあるため、家計への影響が大きいのが実情です。
 

車の維持費・買い替えも見落としがち

特に地方で暮らすシニア世代にとって、車は日常生活の足として不可欠な存在です。しかし、維持にも費用がかかります。

●自動車税・保険料・ガソリン代・車検など:年間10万〜15万円
●車の買い替え費用(中古車でも100万円前後):約10年に1回

退職後も車を保有し続けるなら、維持費+買い替え資金として200万〜300万円程度を別途見込んでおく必要があります。
 
このように、老後には「想定していなかったけれど現実的に起こりうる出費」が数多く存在します。
退職金1000万円があっても、それだけで安心とは言えないのは、こうした支出の存在が大きな理由の一つといえるでしょう。
 

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年金+αでどう備える? 「生活防衛」の考え方

老後資金を考える際に大切なのは、「年金+退職金」だけに頼らないという発想です。いくつかの選択肢を併用することで、より安心な老後を築くことができます。
 
1.確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISAの活用
現役世代のうちに、少額でも私的年金を積み立てることで、退職金の不足分を補うことができます。
iDeCoは60歳まで引き出せませんが、税制優遇が大きく、老後資金に向いています。
 
2.退職後の「プチ労働」
定年後も、体力やスキルに応じて週に数回働くことで、年金にプラスの収入が見込めます。パートやシルバー人材センターなど、働き方の選択肢も多様化しています。
月に5万円程度でも働けば、赤字分を埋める助けになるでしょう。
 
3.支出の最適化

●毎月の固定費(通信費・保険・光熱費など)を見直す
●子どもが独立した後は住み替えやダウンサイジングを検討する
●高額な保険を整理し、公的保障と民間のバランスを見直す

といった支出の見直しも、老後資金の持ちをよくするポイントです。
 

まとめ:退職金1000万円は「安心の一部」と思った方がいい

1000万円の退職金は確かに心強いものです。
しかし、老後に必要な生活費や医療・介護・突発的な出費を考慮すると、それだけで“万全”とはいえないでしょう。
老後は思っているよりも長く、支出も多い時代です。だからこそ、早めに備え、無理のない生活設計を立てておくことが、安心してセカンドライフを楽しむ第一歩となるでしょう。
 

出典

総務省 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要(19ページ)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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