ひとり暮らしの40代なのですが、「老後のための貯金」はいくらあれば安心ですか?
この記事では、老後の生活費や年金、介護費用などをふまえて、どのように老後資金を考えればよいかをわかりやすく解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
老後のお金の心配、なぜ「ひとり暮らし」は厳しいのか?
老後資金の不安が特に大きいのが「単身世帯」です。ひとり暮らしの場合、収入が限られる一方で、光熱費や食費、家賃などの基本的な生活費は2人暮らしと大きくは変わりません。
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2024年」によると、65歳以上の単身無職世帯における平均的な月の支出は以下の通りです。
●社会保障給付(主に年金)などの収入:月12万1629円
●消費支出(食費・光熱費など):月14万9286円
●非消費支出(税金・社会保険料など):月1万2647円
この結果、毎月の赤字は約2万8000円にのぼります。年金だけでは生活費をまかなうのが難しく、日々の生活に貯蓄の取り崩しが必要になることがわかります。
将来もらえる年金額はどのくらい?「自分ごと」で考える老後資金
老後の家計を支える中心となるのが「年金」です。年金制度には「国民年金」と「厚生年金」の2種類があり、加入期間や働き方によって受け取れる額は大きく異なります。
厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金の平均月額は以下の通りです。
●国民年金のみ:月額 約5万7584円
●厚生年金(基礎年金を含む):月額 約14万6429円
単身世帯の支出が月16万1933円であることをふまえると、
●国民年金のみの人は約10万4000円の赤字
●厚生年金ありの人でも約1万5000円の赤字
という計算になります。とはいえ、平均額はあくまで参考にすぎません。自分の将来の受給見込み額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できるため、早めに把握しておくことが大切です。
「長生きリスク」だけじゃない。介護・医療にもお金はかかる
老後に必要な支出は、日々の生活費だけにとどまりません。突発的な医療費や介護費用も視野に入れる必要があります。
生命保険文化センターの「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護にかかる平均的な費用は以下の通りです。
●一時的な費用(住宅改修・福祉用具など):約47万円
●月々の介護費用:平均9万円
●介護期間の平均:4年7ヶ月(55ヶ月)
→ 総額で約542万円
また、施設介護と在宅介護でも費用は大きく異なります。在宅なら月5万円前後で済むこともありますが、施設介護は月10万円以上かかるケースも珍しくありません。
さらに、差額ベッド代、先進医療、通院交通費、薬代など、医療に関する自己負担も一定額が発生します。老後資金には、こうした「見えにくい支出」もあらかじめ組み込んでおく必要があるでしょう。
老後の貯金は「2000万円必要」は本当?自分に必要な金額を逆算しよう
「老後資金は2000万円必要」という話を耳にしたことがある方も多いかもしれません。たとえば、毎月の赤字が3万円あると仮定すると、25年間(65歳から90歳まで)で900万円の取り崩しが必要です。
ここに介護費用や医療・葬儀などを加えると、合計でおおむね2000万円前後となります。
もちろんこれは一例にすぎず、持ち家か賃貸か、健康状態、生活水準などによって必要額は大きく変わります。自分にとって必要な貯金額を導き出すには、
●将来の年金額
●毎月の支出予想
●突発的な支出の見積もり
をもとに、赤字額を逆算することが現実的なアプローチといえるでしょう。
まずは「不足額の見える化」から。今できる備えとは?
単身世帯の老後資金は、毎月の赤字と将来的な介護・医療費を想定すると、平均で2000万円前後の備えが必要と見積もられます。ただし、住居の形態や生活スタイルによって、実際に必要な金額は大きく異なります。
まずは、自身の年金見込みや生活費を正しく把握し、不足分を明確にすることが重要です。その上で、貯蓄や非課税制度などを活用し、無理のない範囲で長期的に準備を進めるとよいでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2024年(令和6年)
令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
生命保険文化センター 生命保険に関する全国実態調査
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー