貯金ゼロで一人暮らしの母が定年退職。「年金支給の5年間だけ毎月10万円援助してほしい」といわれました。さすがにキツイのですがいい制度はないでしょうか…
家計に余裕があれば快く応じられるかもしれませんが、自分の生活費や子どもの教育費などの負担を考えると現実的ではない場合もあります。
そんな時、まず知っておきたいのが「60歳でも利用できる制度や支援策」です。援助を決める前に、制度を組み合わせて生活費の不足分を補える可能性を探りましょう。
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60歳から利用できる公的支援制度
定年退職後、60歳から活用できる制度をいくつかご紹介します。まず検討したいのが「失業給付(基本手当)」です。
厚生労働省によると、定年退職をした方は被保険者であった期間によって90日~150日の所定給付日数があるようです。これは仕事を探す意思が条件になりますが、短期間でも収入の補填に役立ちます。
なお、働く意欲がある高齢者向けに、シルバー人材センターでの短時間・軽作業の仕事も選択肢として有効です。月に数万円の収入が可能で、社会参加にもつながるでしょう。
また、収入や貯金が少ない場合は「生活保護」の申請も選択肢になります。生活保護は最低限度の生活費や医療費を国と自治体が負担する制度で、年齢制限はありません。親族に援助を求められるケースがありますが、必ずしも仕送りが条件ではなく、援助が困難である旨を説明すれば申請可能です。
生活保護は抵抗を感じる人も多いですが、健康を損なうほど生活を切り詰める前に検討すべき制度といえるでしょう。
さらに、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」も重要です。日本年金機構によると、収入の減少や失業等により国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合にこの制度を使用できるとされています。
所得によって免除額が異なるのでお近くの年金事務所などで確認するといいでしょう。免除分は将来の年金額が減りますが、生活を守るために必要な一時的措置として活用できます。
しかし、この制度は生活保護の「生活扶助」との併用はできないようなので注意が必要です。
家族が直接負担しない方法を探す
親を助けたいという気持ちは大切ですが、毎月10万円を5年間援助すると総額で600万円にもなります。これは多くの家庭にとって大きな負担といえるでしょう。
まずは母の生活費の内訳を確認し、必要額と不足額を明確にします。そのうえで、上記の制度や自治体支援を最大限利用し、家族の援助額を減らす方向で考えましょう。
援助が必要な場合でも、金銭以外の方法で支えることも可能です。たとえば、食料や日用品の現物支給、病院や買い物の送迎など、生活費を直接減らすサポートも立派な援助です。
まとめ
60歳で退職し、年金支給まで数年空白がある場合でも、生活を支える制度は複数存在します。失業給付や生活保護、年金保険料免除などを活用し、家族の援助なしでも生活を成り立たせられるケースもあります。
いきなり仕送りを決めるのではなく、まず制度を調べ、必要な支援を行政や地域から受けることが大切でしょう。そして自身の生活も守りながら、無理のない形で助け合う方法を選ぶことです。
親子ともに経済的に追い詰められないためには、早めの情報収集と計画的な行動が欠かせないでしょう。
出典
厚生労働省 離職されたみなさまへ
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー