65歳で退職予定です。退職金を合わせると貯金は「2500万円」ほどに。この貯金額で老後資金は足りますか?
「2500万円」という金額はよく目にしますが、実際には“誰にとって・どんな生活をするか”によってまったく異なります。本記事では、一般的な生活費の目安や年金収入、医療・介護などの予想外支出も踏まえて、あなたの老後資金が本当に足りるか、現実的に判断できるよう構成しました。
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目次
「貯金2500万円」は老後に“安心”とされる金額の目安?
総務省の家計調査報告によると、2024年時点で、65歳以上の二人以上世帯の平均貯蓄額は約2500万円ですが、中央値は約1660万円です。このため、「不安がなくなる老後資金」の中央値は2500万円というのは誤りで、実態に近い中央値は1660万円程度となっています。
一方で、貯蓄2500万円以上の世帯も約3分の1あることから、多くの人にとって「安心資金」の目安として意識される額の一つであることが分かります。ただし、これはあくまで調査上の数値であり、実際に必要な老後資金の額には個人差があります。
2500万円で暮らせるのは、どのくらいの期間?支出と年金の実態は?
同調査によると、高齢無職夫婦世帯の平均的な毎月の赤字は約3.4万円であり、年金収入だけでは支出を完全に賄いきれない実態を示しています。
また、65歳以上の単身世帯の月間支出は約15万円、夫婦世帯では約26万円というデータがあり、夫婦世帯の場合、2500万円の貯蓄では生活が20年以上ギリギリもつ可能性があります。
ただし、この数字はあくまで平均値であり、支出や生活状況により異なるため、個別に検討する必要があります。
医療・介護・インフレ…想定外支出を考えると、2500万円では足りないケースも
・医療費
65歳以上の1人あたりの年間医療費は約77.6万円であり、75歳以上の後期高齢者になるとさらに増加する傾向があります。
・介護費
介護にかかる一時的支払いは平均で約74万円、月々の介護負担は約8.3万円前後となるケースも報告されています。
・インフレ
物価の上昇によって貯蓄の実質価値は減少していくため、生活費の目安としての貯金金額にも影響があります。
これらのリスクを踏まえると、2500万円の貯蓄があっても、余裕をもった老後の生活資金としては不足する可能性が十分に考えられます。
何に気をつけ、どう備えるべきか?
2500万円という貯蓄は老後資金の一つの目安に過ぎませんが、生活スタイルや家族構成、健康状態によって必要額は大きく異なります。単身で質素な生活を送る場合、年金と組み合わせて生活できるケースもありますが、夫婦世帯やゆとりある生活を希望する場合には十分とは言いにくい場合もあります。
医療費や介護費、そしてインフレリスクに対応できる備えも必要です。2500万円は目安の一つとして捉え、想定外の支出に備えさらに余裕をもった資金計画を立てることが重要です。
将来に備えて、支出の見直し、適切な保険の活用、資産運用による資金の増やし方を少しずつ検討していくことが有効です。
出典
総務省 家計調査報告(家計収支編)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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