来年定年の父が「退職金が1800万円入るから老後も安心!」と言っていましたが、税金が引かれたら老後資金としては少ないですよね?

配信日: 2025.08.22 更新日: 2025.10.21
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来年定年の父が「退職金が1800万円入るから老後も安心!」と言っていましたが、税金が引かれたら老後資金としては少ないですよね?
退職金は、長年の仕事の成果として老後の家計を支える大切な資金です。しかし、金額が大きく見えても、税金を引かれると手元に残る額は意外と少なくなることがあります。特に税額は勤続年数や控除額によって大きく変動します。
 
本記事では、退職金1800万円を例に税金の計算方法と手取り額の目安を解説し、さらに老後資金を減らさずに活用するためのポイントも紹介します。定年後の暮らしを安心させるために、退職金に関する基礎知識を整理しましょう。
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退職金1800万円、手取り額はどう決まる?

退職金は「退職所得」という扱いになり、給与や賞与とは別枠で税額が計算されます。このときに課税額を圧縮できるのが退職所得控除です。退職所得控除額は勤続年数に応じて次のように決まります。

・勤続20年以下:40万円 × 勤続年数
 
・勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20)
 
※計算結果が80万円に満たない場合は、最低でも80万円が控除されます。

退職金から上記で算出した額を控除し、それを2分の1にした金額が課税対象です。この課税対象に所得税の税率(5~45%)をかけ、控除額を差し引いた金額が所得税です。加えて、所得税には復興特別所得税(2.1%)も上乗せされます。また、課税対象額に住民税の税率(一律10%)をかけた額が住民税となり、税額が決まります。
 
つまり、勤続年数が長ければ控除が大きくなり、課税対象が小さくなります。一方、勤続年数が短いと控除額が減り、課税対象額が大きくなります。
 

勤続年数別・手取り額のシミュレーション例

例えば退職金が1800万円の場合の概算は以下の通りです。
 

勤続20年の場合

●控除額:40万円×20年=800万円
 
●課税対象:(1800万円-800万円)÷2=500万円
 
●税額
 
・所得税(税率20%):500万円×20%-42万7500円(控除額)=57万2500円
 
・復興特別所得税:57万2500円×2.1%=1万2022円
 
・住民税:500万円×10%=50万円
 
合計税額:57万2500円+1万2022円+50万円=108万4522円
 
●手取り:1800万円-108万4522円=1691万5478円

勤続35年の場合

●控除額:800万円+70万円×15年=1850万円
 
●課税対象:控除額が退職金を上回るため、課税対象はゼロ
 
●税額:なし
 
●手取り:1800万円そのまま

このように、勤続年数が長い場合は税金がかからないケースもあります。逆に勤続年数が短いと、数百万円単位で手取りが減る可能性があります。
 

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手取りを減らさないためにできる工夫

・「退職所得の受給に関する申告書」を提出する
 
これを勤務先に提出すると、退職金支給時に正しく税額が計算され、過剰な源泉徴収を避けられます。提出しないと退職金額に一律20.42%の源泉徴収が行われ、申告しない場合よりも高い税額が天引きされてしまうため、別途確定申告が必要になることもあります。
 
・受け取り方法を選ぶ
 
一時金で受け取れば退職所得控除の恩恵を最大限受けられますが、年金形式で受け取ると「雑所得」扱いとなり税負担が増える場合があります。
 
・退職後の資産運用を組み合わせる
 
手取り額が想定より少なかった場合も、iDeCoやNISAなどの税制優遇のある制度を活用すれば、老後資金を効率的に増やせます。
 

まとめ:退職金だけに頼らない老後設計を

退職金1800万円は大きな金額ですが、税金の仕組みを知らないと多くの税負担をする可能性があります。勤続年数が長ければ退職金控除額が大きくなり退職金全額が非課税になる場合もありますが、短い場合は節税の工夫や他の収入源の確保を検討しても良いかもしれません。
 
老後の生活を安心して送るためには、退職金だけに頼らず、公的年金や資産運用、節税制度をバランスよく活用しましょう。早めの準備が、将来の安心につながります。
 

出典

国税庁 退職金と税
国税庁 A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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