70歳で1人暮らし、持ち家はありますが「年金月10万円」「手取り約9.6万円」。この先の暮らしが正直不安なのですが、このままで生活費は足りるのでしょうか?
本記事では、高齢単身世帯の平均的な生活費や年金収入とのギャップを確認し、足りない分を補うための具体的な方法を解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
70代1人暮らしの生活費はどれくらいかかる?
まずは平均的な生活費を知ることから始めましょう。総務省「家計調査(2024年)」によると、65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月あたりの消費支出は14万9286円です。
この支出には以下が含まれます。
・食費:4万2085円
・光熱・水道:1万4490円
・保健医療:8640円
・教養娯楽や交際費など:4万6448円
持ち家があって家賃を支払っていない世帯も多いため、これは比較的「最低限必要な生活費」に近い数字といえます。つまり、1人暮らしでも月15万円前後はかかるのが一般的です。
年金月10万円では足りる? 平均支出との比較
今回のケースでは、手取り年金が月約9万6000円。これを先ほどの平均支出15万円と比べると、毎月およそ5万円の不足が生じることになります。
もちろん生活スタイルによって差はあり、外食を控えて自炊を中心にしたり、趣味や交際費を減らしたりすれば赤字幅を縮めることも可能です。
とはいえ、医療費や介護費用は年齢とともに増えていく傾向があり、今後ますますギャップが広がる可能性が高いのです。「年金だけで安心して生活する」のは難しく、現実的には収入補填や資産活用が欠かせない状況といえるでしょう。
不足を補うためにできる工夫と制度の利用
年金で足りない分をどう補うか。大きく3つの方向性があります。
・通信費の格安プランへの変更
・加入している保険の整理
・電気・ガス代のプラン見直し
これらで月1~2万円の節約は十分可能です。
・70歳でも短時間のパートやシルバー人材センターの仕事で月3万円程度を得る人も少なくありません。
・趣味や特技を活かした在宅ワーク、地域活動を収入につなげるケースもあります。
・国民年金保険料を満額納められなかった場合でも「年金生活者支援給付金」や「高額療養費制度」など、医療・生活を助ける公的制度があります。
・生活保護は最後のセーフティーネットですが、「資産があるから利用できない」と決めつけず、役所に相談することも選択肢です。
持ち家という資産を安心の力に変えていこう
持ち家があることは大きな強みです。家賃が不要なだけで毎月数万円の負担をおさえられています。さらに、持ち家を「資産」として活かす方法もあります。
・住み替え
広い一軒家を売却し、管理が楽なマンションや高齢者向け住宅に移れば、売却益を老後資金に充てられます。
・一部を貸す・シェアする
部屋を貸して家賃収入を得たり、シェアハウス的に暮らしたりすることで交流も得られます。
・リバースモーゲージ
自宅を担保に生活資金を借り、亡くなった後に自宅を売却して元本を返済する制度で、毎月の生活費を補う手段になります。ただし、利息負担や金利変動、長生きするほど資金が不足するリスクなどの注意点があるため、契約前に詳細を確認することが重要です。
家を「住むだけのもの」とせず、状況に応じて活用することも選択肢の一つです。
将来に備えて、安心の暮らしを作っていこう
年金月10万円では、平均的な生活費に対して毎月5万円前後の不足が見込まれます。ですが、支出の見直しや短時間の仕事、各種制度の利用に加え、持ち家という資産を工夫して活かせば、暮らしを成り立たせる道は必ずあります。
「このままで大丈夫だろうか」という不安は、行動することで具体的な解決策に変えられます。生活費の収支を整理し、一つひとつ手を打つことが、安心してこれからを生きるための第一歩となるでしょう。
出典
総務省 家計調査報告(家計収支編) 2024年(令和6年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー