「賃貸暮らし」の40代です。「老後」のことを考えたら、今からでも「家を購入」した方がよいのでしょうか? 賃貸と持ち家それぞれのリスクを教えてください。
そこでこの記事では、賃貸と持ち家それぞれのメリットとリスク、そして40代からの住まいの選び方のポイントについて解説します。
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40代で家を買うメリットとリスクとは
住宅購入の大きなメリットは、住居費の軽減と資産化できる点にあります。とくに定年後、収入が年金中心になってもローンを完済していれば家賃の負担がなくなるため、生活の安定につながる可能性があります。さらに、2024年現在は住宅ローン控除や地域の補助金制度も整っており、40代での購入は「一つのチャンス」ともいえるでしょう。
ただし、購入にはリスクも伴います。築年数の古い物件では、リフォームや修繕に年間で数十万円規模の出費が発生することがあります。また、2025年以降は地価が横ばいから微減傾向にあると見込まれており、「将来売却すれば老後資金になる」と考えるのは危険です。
さらに、40代でローンを組むと、最長35年ローンを利用しても完済は70代になります。金融機関によっては返済完了年齢を75歳までと定めている場合もあり、健康リスクや雇用環境によってはローン審査が通らない場合もあります。
それでも「老後に住まいの不安を抱えたくない」「今のうちに自分仕様の家を整えたい」と考える方にとっては、今が行動のタイミングといえるでしょう。
賃貸暮らしを続けることの安心感と将来の課題
賃貸の魅力は、なんといっても柔軟性と管理の手軽さにあります。持ち家と違って「修繕のたびにまとまった費用が必要」「ご近所トラブルがあっても引っ越せない」といった悩みが少ない傾向にあり、身軽さを保ちたい人には理にかなった選択です。
また、転職や介護、子どもの進学など、ライフイベントに応じて住まいを変えやすいのも利点です。最近では、UR賃貸や保証人不要の物件も増えており、高齢者向けサービス付き住宅(サ高住)なども登場しています。
ただし、見落としがちなのが高齢期の賃貸契約リスクです。60代以降になると、入居審査が厳しくなり、年金のみの収入や高齢という理由で契約を断られるケースが少なくありません。家賃を払い続ける体力があるか、保証人が確保できるかが焦点になるといえるでしょう。
また、物価上昇とともに家賃が見直される可能性もあります。近年、住宅関連費用は全体として緩やかながら上昇傾向です。これを踏まえても、老後の家賃支出が増えるリスクは無視できないといえるでしょう。
40代から判断するためのポイント
40代は、家族構成やライフスタイルの変化が起きやすい傾向があり、収入や資産形成の状況も安定期に入るため、将来の住まい方を冷静に判断しやすい時期だといわれています。賃貸か持ち家かを判断する際は、以下のポイントを整理して考えるとよいでしょう。
●退職後の生活設計
年金額と毎月の住居費とのバランス。賃貸なら70代以降の家賃負担を試算、持ち家なら完済時期と老朽化時期を確認。
●健康や介護リスク
持ち家の場合、介護に備えたバリアフリー化や駅近の立地が望ましい。
●家族構成の変化
子どもが独立後も広い家が必要か、夫婦2人の暮らしに見合った間取りか。
特に「ローンが残っている間に転職や病気が起きたらどうするか」「退職後に持ち家を売却したらどれくらい残るか」など、シミュレーションと出口戦略も重要です。購入を急ぐのではなく、数年単位の視野で慎重に計画を立てることが、後悔しない選択につながります。
賃貸と持ち家それぞれのリスクを踏まえて選択を
賃貸か持ち家かの答えは、人それぞれ異なります。ただ、40代という今の時期だからこそ大切なのは、「定年を迎えたとき、この住まい方で安心して暮らせるか」という視点です。
持ち家には資産になるメリットなどがある一方、維持費や売却時の流動性リスクも伴います。対して賃貸は、自由度が高く身軽に暮らせますが、老後の不確実性や家賃を払い続ける負担が重くのしかかります。
結局のところ「今からでも購入すべきかどうか」は、それぞれの資金力や描く老後の暮らし方のバランスによると考えられます。現状を整理し、専門家の意見も取り入れながら、選択肢を広げて検討するとよいでしょう。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー