保育士×公務員の40代夫婦。退職金頼りで貯金は「300万円」しかないけど老後は安泰?“なんとなく安心層”が陥る資金ギャップとは
本記事では、そんな“なんとなく安心層”が陥りやすい資金の落とし穴について、具体的なケースをもとに解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
40代で貯金300万円。“退職金があるから大丈夫”は本当か?
ここでは、貯金300万円の40代共働き夫婦を例に、退職金の実態や注意すべき落とし穴を解説します。
今回のケーススタディ:保育士×公務員夫婦
今回は、40代で貯金300万円の共働き夫婦を例に考えてみましょう。
・妻:保育士(平均年収406万8000円)
・夫:地方公務員(平均年収481万4000円)
世帯年収は約900万円と、比較的安定している印象です。
退職金の実態と過信のリスク
まずは、退職金の目安を見てみましょう。
・保育士の退職金:1000万~2000万円前後
※勤続年数や、公立・私立保育園の違いにより大きく変動あり
・地方公務員の退職金:2000万円前後
合計で3000万~4000万円ほどの退職金を見込める可能性があります。これだけ見ると、「老後はなんとかなるかも」と感じる方も多いでしょう。しかし、退職金は非課税だと思われがちですが、実は所得税や住民税の対象です。
退職所得控除によってある程度は控除されますが、課税ゼロではないため注意が必要です。そのため、手元に残る金額は想定よりも少なくなると考えておきましょう。
「なんとなく安心層」が陥る“老後資金ギャップ”とは?
「なんとなく年金も退職金もあるし、老後は大丈夫そう」と思っている方は多いでしょう。しかし、実はその「なんとなく安心層」こそ、老後資金のギャップに陥るリスクが高いのです。
老後資金に必要な金額はどれくらい?
老後二人世帯にかかる生活費は、一般的に次のように考えられています。
・最低限の生活:毎月約23万円
・ゆとりある生活:毎月約30万円
夫婦2人で共働きだった場合、もらえる年金は平均して月27万~29万円です。
「見えない支出」が資金計画を狂わせる
老後の支出には、見落とされがちな費用がいくつもあります。高齢になるほど病気のリスクは高くなり、医療費が増えていきます。また、介護が必要になれば、月数万円~十数万円の出費が続くこともあるでしょう。
築20~30年を超えると、屋根・外壁・水回りなどの修繕費用が一気にかさみます。大規模なリフォームや修繕を行えば、数十万円~100万円以上かかることも珍しくありません。
また、老後も続く子どもや孫への出費も見逃せません。結婚・出産・進学・住宅購入など、支援したくなる場面は多く、自分たちの生活費を圧迫するケースもあるでしょう。
老後破綻を避けるために40代からできること
老後に向けた資金準備は、早く始めるほど安心につながります。ここでは、老後破綻を避けるために40代からできる具体的な対策をご紹介します。
今から始める資産形成のポイント
老後に向けた資金作りは「貯金」だけでは不十分です。物価上昇や長生きリスクに備えるためには、お金を増やす仕組みを取り入れることが大切です。
iDeCoやNISAは、どちらも少額から始められるため、投資は怖いと感じる方にも適しています。また、毎月の支出の中でも、以下のような固定費の見直しは即効性があります。
・保険の見直し(過剰な保障はカット)
・スマホ・インターネットなど通信費のプラン見直し
・住宅ローンの借り換えや繰り上げ返済
見直しにより月数万円の余裕ができれば、その分を積立投資に回すことも可能です。
退職金を“増やす・守る”ための戦略
退職金は大きな金額だからこそ、使い方や運用方法を間違えると老後資金が足りなくなるリスクがあります。一部は生活費の補填にまわしたり、定期預金・債券・投資信託など比較的安全な商品で運用したり、資産を分散して管理することで、リスクを抑えながらお金を守れます。
老後資金の中には、当面使わないお金(10年以上先の資金)も含まれるため、そうしたお金は、短期ではなく中長期で運用するのがおすすめです。
退職金頼みの安心感が招く老後資金のギャップに注意を
退職金は一定の金額が見込めるものの、課税の影響や突発的な大きな支出があるため、手元に残る資金は目減りします。
また、年金収入だけでは医療費や介護費用、住宅の修繕費など見えにくい支出に対応しきれないリスクがあります。そのため、40代のうちから資産形成や固定費の見直しを進め、退職金を適切に運用・管理することが大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー