65歳で定年退職予定です。退職金が「2000万円」ほど出る見込みなのですが、「退職金にも税金がかかる」と聞いて不安です。実際、手取りではいくらになるのでしょうか?

配信日: 2025.08.26 更新日: 2025.10.21
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65歳で定年退職予定です。退職金が「2000万円」ほど出る見込みなのですが、「退職金にも税金がかかる」と聞いて不安です。実際、手取りではいくらになるのでしょうか?
結論から言うと、退職金にも税金がかかります。ただし、退職金は、長年の勤労に対する報償的給与として受け取るもので、老後資金として大切な資金です。したがって、他の所得に比べて税負担が軽くなるような配慮がされています。
 
本記事では、一時金で退職金をもらった場合にかかる税金と具体例を見ていきます。あわせて、退職金の受け取り方とそれぞれのメリット・デメリットについても解説していきます。
堀江佳久

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

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退職金にかかる税金について

退職金にかかる税金は、会社の勤続年数によって大きく異なり、勤続年数が長くなるほど、「退職所得控除」という控除額が大きくなるため、税金の負担は軽くなるように優遇されています。
 

1. 退職所得控除額の算出方法

退職金所得控除額は、図表1のように算出されます。このように、勤務年数が長くなればなるほど、控除される金額が大きくなります。
 
図表1:退職所得控除額の算出方法

勤務年数(=A) 退職所得控除額
20年以下 40万円×A
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超 800万円+70万円×(A-20年)

国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」より引用
 

2. 退職所得控除額と課税退職所得金額の算出

退職金にかかる税金は、つぎの算定式で計算される課税退職所得金額に所得税と住民税がかかります。
 
課税退職所得金額=(退職金-退職所得控除額)×1/2
 
退職金が2000万円、勤続年数が30年の場合の退職控除額、課税退職所得金額の算出方法は以下の通りです。
 
(1)退職控除額
図表1にある退職所得控除額の算出方法のうち、20年超えを適用します。つまり、退職所得控除額は以下のようになります。

退職所得控除額=800万円+70万円×(30年-20年)
       =800万円+70万円×10年
       =800万円+700万円
       =1500万円

 
(2)課税退職所得金額
前述の算出式を適用します。

課税退職所得金額=(2000万円-1500万円)×1/2
        =500万円×1/2
        =250万円

 

3. かかる税金の具体的金額例

前述で計算した課税退職所得金額250万円に税金がかかります。
 
(1)所得税
ここでは簡易的に、国税庁が定める速算表を使用します。課税退職所得金額250万円の場合、税率10%、控除額9万7500円を適用します。

(250万円×10%-9万7500円)×1.021%(復興特別所得税)
=(25万円-9万7500円)×1.021%=15万2500円×1.021%
=15万5702円

 
(2)住民税
住民税は、お住まいの自治体によって異なる部分がありますが、ここでは、課税退職所得金額に対して一律10%(都道府県民税4%+市区町村民税6%)が住民税として課されることとします。したがって、住民税は、250万円×10%=25万円となります。
 
(3)手取り額
退職金から、所得税と住民税を差し引いて手取り額を求めます。
 
2000万円-15万5702円-25万円=1959万4298円
 
ただし、ここで試算した税金はあくまで概算であり、正確には、勤務先の担当部署に確認をしてください。
 

退職金を受け取る方法とメリット・デメリット

ここまで、退職金を全額一括(一時金)で受け取る方法の税金について解説してきました。一時金で受け取ることができるメリットとしては、「退職所得控除」の適用によって税負担を軽減できることや、社会保険料が発生しないことがあげられます。
 
また、住宅ローンの返済などまとまったお金が必要な場合には有効かもしれません。
 
一方で、まとまった金額を一度に受け取るため、使い過ぎてしまったり、資金管理を怠ると老後資金がショートしてしまったりするリスクがあります。以下で、一時金以外の受け取り方法とそのメリット・デメリットについて、見ていきましょう。
 

1. 年金形式

退職金を年金として受け取る方式です。一時金に比べて、資金が定期的に入ってくるため計画的な消費ができ、老後資金の管理がしやすいというメリットがあります。
 
一方で、一時金のような「退職所得控除」の適用が受けられないため、税金面での負担が増える可能性があります。また、受け取った退職年金はその年の所得額に加算されるため、社会保険料が増加することがデメリットとして考えられます。
 

2. 一時金+年金形式

退職金の一部を一時金として、残りを年金として受け取るものです。
 
一時金部分には退職所得控除、年金部分には公的年金等控除が適用されるため、税負担を分散することが可能です。また、まとまった資金が必要な場合には一時金を活用できる、そして定期的な収入を得ることができるというメリットがあります。一方で、年金部分については、社会保険料の負担増加の可能性があります。
 
退職金制度は企業によって異なり、支給形式を選べないケースもあります。退職金の受け取り方については、勤務先の担当部署に確認をする必要があります。
 

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まとめ

退職金には税金がかかります。一時金で受け取る場合には、「退職所得控除」を享受し、税負担を軽減することができます。退職所得の控除額は勤務年数が長くなれば長くなるほど大きくなっています。また、一時金以外にも、年金形式や一時金+年金形式による受け取り方が選べるケースもあります。
 
それぞれにメリット・デメリットがありますので、勤務先に確認のうえ、ライフプランに合わせて選択されることをお勧めします。
 

出典

国税庁 退職金と税
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
 
執筆者 : 堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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