54歳の夫から「役職定年を迎えると、年収4割減になるかもしれない」と聞きました。「固定費」から見直そうと思うのですが、何をどの順番で見直すのがよいでしょうか?
この記事では、家計への影響が大きい住宅ローンや教育費などを、どのように見直せばよいのかを分かりやすく解説します。
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目次
役職定年で「年収4割減」は一般的?
まずは、「4割」という減少幅が一般的なケースなのかどうか見ていきましょう。
2025年4月に人事院・内閣人事局が公表した「国家公務員の60歳以降の働き方について(概要)」では、国家公務員は60歳の役職定年で管理職ではなくなり、61歳からの給与は元の約7割になることが示されています。民間企業でも、役職定年前の7~9割程度に給与を設定する例が見られます。
これらを踏まえると、4割減はやや大きい減少にあたる可能性がありますが、給与の減額幅は会社によって大きく異なります。基本給だけでなく、役職手当やボーナスがどうなるかによっても影響が変わるため、まずは会社の就業規則や賃金規定を確認することが大切でしょう。
家計への影響が最も大きい「住宅ローン」から見直しを
まず確認したいのが、固定費の代表ともいえる住宅ローンです。年収に対する返済の負担が、安全なラインを超えていないかチェックしてみましょう。
住宅金融支援機構は、「総返済負担率」(年収に占める年間の総返済額の割合)の基準を設けています。年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下がひとつの目安です。
もし、収入減によってこの基準を超えてしまう場合は、家計が赤信号になる可能性があります。早めに「繰り上げ返済」で元本を減らす、返済期間の延長などの「条件変更」、より金利の低いローンへの「借り換え」などを金融機関に相談しましょう。
次は教育費。進学による支出の差を把握する
住宅ローンと並んで、家計における大きな固定費となりやすいのが「教育費」です。特に子どもが高校生や大学生の時期にあたる世帯では、家計の重荷になりやすいでしょう。
文部科学省の調査によると、進学する大学が国公立か私立か、また自宅から通うか一人暮らしかによって、必要となる費用は大きく異なります。
子どもの進路について、授業料や通学費、塾代などが今後どれくらいかかりそうか、あらかじめリストアップしてみましょう。その上で「教育費として出せるのはここまで」という上限を家族で話し合っておくと、急な出費で慌てずに済みます。奨学金や教育ローンの利用も、早めに情報を集めておくと安心です。
保険・通信・車・サブスク。重複と実利用で線引きする
住宅ローンや教育費といった大きな固定費に見通しがついたら、次は毎月の細かな固定費に目を向けましょう。すぐに手をつけることができ、節約効果を実感しやすい項目も多くあります。
【保険】
万が一の際に必要な保障額と、毎月支払う保険料のバランスが取れているかを確認しましょう。加入している生命保険や医療保険などをリストアップし、保障内容が重複していないかチェックします。会社の団体保険や、保険の特約も見落としがちなので注意しましょう。
【通信費】
スマートフォンやインターネットの料金が、毎月のデータ使用量に合ったプランになっているか確認します。「自宅のWi-Fi利用が中心になった」「子どもが卒業して大容量プランが不要になった」など、生活スタイルの変化に合わせてプランを見直しましょう。
【車】
車は、自動車税や保険料、駐車場代といった維持費(固定費)が多くかかります。車の利用頻度と維持費を天秤にかけ、本当に所有し続ける必要があるのか、一度検討してみるのもよいでしょう。
【サブスクリプション】
動画や音楽配信などのサービスは、あまり利用していないものや、家族で重複して契約しているものがないか確認しましょう。一つひとつは少額でも、解約すれば着実な節約につながります。
計画的な見直しで、収入減の不安を乗り越えましょう
年収が大きく減るという変化は、誰しも不安に感じるものです。しかし、「住まい(住宅ローン)」「教育費」「保険や通信費など」と、家計への影響が大きい固定費から順番に状況を整理していけば、冷静に対策を立てることが可能です。
まずは家庭の状況を一つひとつ書き出して、現状を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。
出典
人事院・内閣人事局 国家公務員の60歳以降の働き方について
住宅金融支援機構 年収による借入額などの制限はありますか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー