来年定年退職するという「国家公務員」の友人。民間企業の私は退職金「1800万円程」なのですが、同じくらいもらうのでしょうか?
この記事では、国家公務員と民間企業それぞれの退職金制度の特徴と平均的な水準を比較して解説します。
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国家公務員の退職手当の算出方法
国家公務員の退職手当は、「国家公務員退職手当法」に基づき、以下の計算式で算出されます。
退職手当額 = 基本額(退職日の俸給月額 × 支給割合) + 調整額
「支給割合」は勤続年数に応じて定められており、定年退職か自己都合退職かといった退職理由によっても変動します。さらに、「調整額」が加算される仕組みです。
また、人事院では「定年退職で在職中に休職期間のある例」として、勤続38年・俸給月額38万8500円で約2035万円の試算が示されています(条件により増減)。個々の金額は、最終的な俸給や勤続年数によって変動するようです。
民間企業の退職給付における平均額
民間企業の退職給付制度は企業ごとに異なりますが、厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」が、全国的な平均額を明らかにしています。
2023年に定年退職した勤続20年以上の労働者の平均退職給付額(学歴・職種別)は以下の通りです。
・大学・大学院卒(管理・事務・技術職):1896万円
・高校卒(管理・事務・技術職):1682万円
・高校卒(現業職):1183万円
また、給付形態によっても平均額は大きく異なります。大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で勤続35年以上の退職者を見ると、以下のようになります。
・退職一時金制度のみの場合:1822万円
・退職年金制度のみの場合:1909万円
・両制度を併用している場合:2283万円
退職一時金に加えて企業年金制度が整備されている企業では、給付総額が高くなる傾向が見られます。
水準の比較
まず民間企業の平均額を見ると、厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」では、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の定年退職者で平均1896万円となっています。
一方、人事院が示す計算例の一つ(定年退職・在職中に休職期間のある例)では、勤続38年・俸給月額38万8500円で約2035万円となります。
これらの数値を比べると、国家公務員のモデルケースが民間企業の平均額を上回っていることが分かります。もちろん、これはあくまで平均値と一例の比較であり、実際の退職金額は個人の経歴や企業の規模によって大きく変動します。
国家公務員の場合、定年・長期勤続なら退職金は1800万円を上回るケースがある
国家公務員の退職金は法律に基づく計算式で算出され、民間企業では学歴や職種、企業の給付制度によって水準が異なります。公表されているデータから両者の平均的な金額を比較すると、条件によっては国家公務員の退職金が1800万円を上回るケースもあることが分かります。
ただし、これはあくまで統計や計算例を基にした目安にすぎません。実際の退職金額は、個人の勤続年数や最終的な役職、あるいは各企業の制度内容によって大きく変動します。退職後の生活設計を考える際には、こうしたデータを参考にしつつ、ご自身の勤め先の制度を正しく理解しておくことが大切です。
出典
人事院「退職手当の支給・支給割合」
人事院「退職手当の計算例」
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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