「退職金があるから大丈夫」と老後に備えた貯金を全くしない父。退職金800万円で本当に老後大丈夫なのでしょうか!?
本記事では、本当に退職後は年金のみで暮らせるのか、実際の支出と収入のバランスを見ながら、退職金だけに頼るリスクと今からできる対策について解説します。
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目次
退職後の夫婦のみ世帯の平均支出額は?
総務省の家計調査によると、65歳以上の夫婦だけで生活している無職世帯の平均的な毎月の支出は、25万2818円です。ここでは、退職金を生活費の不足分の補填に充てた場合、約何年分の生活費にあたるか計算してみましょう。
・年金15万円の場合
月の不足額=25万2818円-15万円=10万2818円
退職金800万円÷10万2818円=77.8ヶ月=約6年
・年金20万円の場合
月の不足額=25万2818円-20万円=5万2818円
退職金800万円÷5万2818円=151.46ヶ月=約12年
年金が15万円の場合、毎月約10万円の赤字が出るため、退職金800万円は6年ほどで使い切ってしまうでしょう。一方、年金が20万円の場合は、月の赤字が約5万円に減るため、退職金は約12年持つでしょう。
しかし、これらはあくまで平均的な支出をもとにした試算であり、実際には医療費や介護費、予期しない出費がかさむことも多いため、退職金だけに頼るのはリスクが高いといえます。
年金+退職金では不足する可能性が高い理由
定年退職後は、多くの人にとって「年金」と「退職金」が主な収入源になります。しかし、実はこの2つだけでは、安心して老後を過ごすには不十分なケースも少なくありません。年金の受給額は人によって異なりますが、現役時代の収入より大きく減るのが一般的です。
40~50代で収入のピークを迎えると、生活水準もそれに合わせて上がっていきます。退職後もその生活スタイルを維持し続けてしまうと、収入が減っても支出は減らない状態になってしまう可能性があるのです。
支出が高い状態では、貯蓄や退職金がどんどん目減りしていき、年金だけでは生活が成り立たなくなるリスクがあります。
退職金だけでカバーできないリスク項目
老後には思った以上に予想外の支出が発生します。晩婚化の影響で、30代後半~40代で子どもを授かる家庭も増えています。そのため、定年を迎えた時点で子どもがまだ大学在学中というケースも少なくありません。
本来であれば、老後に備えて貯金できる「最後の貯めどき」ですが、教育費が重くのしかかり、貯蓄どころか出費が増える結果になってしまいます。
また、高齢の親が要介護状態になった場合、介護にはお金がかかります。たとえ介護保険が使えたとしても、それだけでまかなえるとは限りません。施設利用の自己負担分や通院・医療費、介護用品などの出費が重なると、貯金を取り崩す必要が出てくることもあります。
また、老後は自宅で過ごす時間が長くなります。快適で安全な生活のために大規模なリフォームが必要になることもあるでしょう。
今からできる対策|退職金だけに頼らない備え方
退職金や年金だけに頼った老後資金では、不足する可能性があります。ここでは、今からできる現実的な備えをご紹介します。
貯蓄ゼロでも始められるステップ
「貯金がないから何もできない」と思うかもしれませんが、今からでも老後の準備は始められます。まずは、税金の優遇もある制度のiDeCoやNISAを活用して、少しずつでも投資を始めてみましょう。
また、スマホ代や保険料など、毎月の固定費を見直すだけでも、ムダを減らして貯金の余裕が生まれます。さらに、自分が将来もらえる年金の金額を確認しておくと、必要な老後資金の目安が分かり、今後の対策が立てやすくなります。
退職金800万円を「守りながら増やす」運用術
退職金は、一度に使いすぎないように注意が必要です。一括で使わず、少しずつ受け取る方法(分割受け取り)にすれば、長く安心して使えます。
また、お金の預け先を1カ所にまとめず、分けて管理することも大切です。例えば、一部は安全な預金に、もう一部は少し増やせる投資にするなど、リスクと安心のバランスを取ることで、お金を減らさずに活用できます。
退職金だけでは老後は不安。今からできる備えで安心な老後を目指そう
退職金があるからといって、老後の生活が必ずしも安心とは限りません。年金だけでは生活費が足りず、退職金800万円も数年でなくなる可能性があります。
だからこそ、今からできる事前準備が大切となってきます。例えば、少額から始められるiDeCoやNISAの活用、毎月の固定費の見直し、退職金の上手な使い方など、小さな工夫が老後の安心につながります。
出典
総務省 家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要(19ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
