老後資金3000万円は「本当に」必要? 単身世帯・夫婦世帯で実際に必要な貯蓄額はいくら?

配信日: 2025.09.01 更新日: 2025.10.21
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老後資金3000万円は「本当に」必要? 単身世帯・夫婦世帯で実際に必要な貯蓄額はいくら?
老後生活について考える際に、懸念点となるのは老後資金でしょう。老後資金として3000万円は本当に必要なのか、また単身世帯と夫婦世帯で実際に必要となる貯蓄額はいくらくらいなのでしょうか。
 
本記事では、老後世帯における平均支出額や年金の平均受給額について解説します。
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老後世帯の平均支出額

総務省統計局による「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」を参考に、65歳以上の単身無職世帯と夫婦のみの無職世帯における平均支出額を表1にまとめました。なお、非消費支出とは直接税と社会保険料などを合わせたものです。
 
表1

65歳以上の単身無職世帯 65歳以上の夫婦のみの無職世帯)
消費支出(月平均額) 14万5430円 25万959円
非消費支出(月平均額) 1万2243円 3万1538円
合計額(月平均額) 15万7673円 28万2497円

出典:総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」を基に筆者作成
 

老後世帯の収入

老後世帯における収入にはいくつかの種類がありますが、代表的なものは年金です。年金のなかでも多くの人が受給するのは国民年金と厚生年金でしょう。ここからは、国民年金と厚生年金について解説します。
 

国民年金

年金は、国が運営している公的年金と、公的年金の上乗せ給付を保障する私的年金の2種類に大別されますが、国民年金は公的年金に該当します。また、国民年金は老齢基礎年金とも呼ばれます。
 
国民年金の加入対象となるのは、日本在住の20歳以上60歳未満の方です。保険料を納付していた期間と、保険料の納付を免除された期間などの合計が10年以上ある場合に、原則65歳から受給できる年金です。
 
国民年金の受給額は、その年の支給額の満額と、保険料を納付した月数および免除された月数に基づいて算出されます。国民年金の満額は経済状況などを考慮して毎年決められますが、厚生労働省によれば、令和7年度は月額6万9308円です。
 
なお、国民年金を満額受給するために必要な保険料の納付期間は480ヶ月です。
 
同じく厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和5年度末時点における国民年金の平均受給月額は5万7700円とされています。なお、令和5年度における国民年金の支給額の満額は月額6万6250円です。
 

厚生年金

厚生年金は、企業に属する会社員や公務員などが加入する公的年金です。
 
老齢厚生年金は国民年金の受給資格を満たしており、厚生年金に加入していた期間があれば受給できます。老齢基礎年金に上乗せして、65歳から受け取ることが可能です。
 
厚生年金の支給額は加入期間中の収入額と、加入期間の月数を基に算出されます。収入が多いほど保険料も高くなりますが、その分だけ受給額も多くなります。
 
前述の厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和5年度末時点における厚生年金の平均受給額は月額14万7360円です。この金額には国民年金が含まれています。
 

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老後世帯の家計収支

表1より、65歳以上の単身無職世帯における平均支出額は15万7673円です。国民年金を含めた厚生年金の平均受給額は月額14万7360円であるため、月々1万313円の赤字となります。
 
年間では12万3756円の赤字であり、仮に老後期間が20年とすると247万5120円の赤字です。別の収入や貯蓄を家計に補てんする必要があるでしょう。
 
また同様に、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における平均支出額は28万2497円です。夫婦2人が平均額の厚生年金を受給できる場合、月の年金収入は29万4720円となることから、1万2223円の黒字になります。
 
この場合、別の収入や貯蓄を家計に補てんする必要はないでしょう。ただし、医療費や介護費など、突発的な支出がある場合はやや心もとないかもしれません。
 
なお、上記の試算はあくまでも平均額を基にしたものです。実際の支出額や年金受給額によっては、収支バランスが異なることに注意してください。
 

老後に必要な貯蓄額は、支出額と年金などの収入次第

老後の収入のうち、代表的なものは年金です。厚生労働省の統計によると、国民年金を含めた厚生年金の平均受給額は月額14万7360円です。夫婦世帯で2人とも平均額を受給できる場合、月々の年金収入は29万4720円となります。
 
総務省統計局のデータによると、高齢単身無職世帯の平均支出額は月額15万7673円です。年金収入との収支は1万313円の赤字となります。老後生活が20年あるとすると、老後資金として約250万円が必要といえます。
 
一方、夫婦高齢者無職世帯では平均支出額が28万2497円のため、年金収入との収支は1万2223円の黒字です。収支計算上は貯蓄などから補てんする必要はないでしょう。
 
支出額や年金などの収入額によっては、3000万円の老後資金は必要ない可能性があります。ただし、老後資金として実際に必要な貯蓄額は、支出額と年金などの収入額次第といえます。各家庭で異なるため、事前にシミュレーションしておくことをおすすめします。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2023年-(19ページ)
厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から1.9%の引上げです~(1ページ)
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 II. 厚生年金保険 (2)給付状況 表6 厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移(8ページ)、III. 国民年金 (2)給付状況 表20 国民年金 受給者の平均年金月額の推移(19ページ)
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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