55歳で貯金「1500万円」に!老後の生活は安心と思ったら息子に心配された…これじゃ足りないの?
本記事では、公的データをもとに老後資金の目安を整理しながら、1500万円でどの程度安心できるのかを解説し、不安を減らすための備え方も紹介します。
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老後に必要なお金はどのくらい? 平均データから確認
まずは老後にかかる生活費の目安を見てみましょう。
総務省「家計調査(2024年)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の1ヶ月の平均消費支出は25万6521円です。一方で、同じ世帯の可処分所得は22万2462円です。つまり、毎月3万円前後の赤字が生じている計算になります。
さらに、生活費以外にも医療費や介護費、住まいの修繕費などがかかります。
公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」では、夫婦2人でゆとりある老後生活を送るための費用は月額で平均37万9000円とされています。この金額から可処分所得を差し引くと、毎月15万6000円程度を補うために何かしらの収入や貯金から取り崩すことが必要になります。
貯金1500万円で生活できる? モデルケースでシミュレーション
仮に、65歳で退職して以降は年金収入が月22万円とします。
生活費が月26万円なら、毎月4万円を貯金から取り崩すことになります。1年で48万円、30年で1440万円かかることになります。この計算だけなら、30年間は1500万円で「なんとか足りる」ことになります。ただし、これはあくまで生活費のみを想定した単純な試算です。
先述したとおり、現実には病気や介護で想定外の医療費がかかったり、家の修繕やリフォーム費用が必要になったりします。また、子どもや孫への援助をする可能性や将来の物価が上昇した場合など、追加支出があることを考慮すると、1500万円では余裕がないのが実情です。息子さんが心配するのも無理はありません。
老後資金に不安を感じたときの備え方
「じゃあどうすればいいの?」と不安に思った方に向けて、備えのポイントを紹介します。
1.退職金や企業年金を確認する
勤務先によっては退職金や企業年金が支給されます。これを加えると老後資金は大きく変わるため、まずは自分の会社の制度を確認しましょう。
2.年金額を把握する
年金定期便やねんきんネットで、自分と配偶者の年金見込み額を確認しておくと、将来の収入の全体像が見えて安心です。
3.支出を抑える工夫をする
生活費を月1~2万円減らせるだけで、老後に必要な資金は大きく変わります。固定費(保険料・通信費など)の見直しは効果的です。
4.資産運用で「増やす」ことも検討
55歳からでも、リスクを抑えた投資信託や個人向け国債などで資産を少しずつ増やす方法もあります。預貯金だけではインフレに弱いため、分散して備えるのが安心です。
5.医療・介護の備えを考える
公的介護保険や医療保険でカバーできる範囲を確認し、不足があれば民間保険で補うのも選択肢のひとつです。
まとめ
1500万円という貯金額は決して少なくなく、努力の証しでもあります。ただし、老後を「安心」と言い切るにはやや不安が残るのも事実です。
実際の老後には医療費や住まいの修繕、物価上昇など予想しづらい出費が重なります。1500万円だけに頼るのではなく、退職金や年金を含めた全体の収支を確認し、生活費の見直しや資産運用で備えていくことが大切です。
不安を感じた今こそ、老後資金のシミュレーションを始め、安心して暮らせる準備を進めていきましょう。
出典
総務省 家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要
公益財団法人 生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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