60歳独身女性、退職金なしで貯金は500万円です。年金「月12万円」で生活をするつもりですが老後は足りますか?

配信日: 2025.09.04 更新日: 2025.10.21
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60歳独身女性、退職金なしで貯金は500万円です。年金「月12万円」で生活をするつもりですが老後は足りますか?
「老後の生活資金は足りるのか?」という不安は、多くの人に共通するテーマです。特に、「退職金なし、独身、貯金が少ない」場合は、より老後の資金計画をしっかり立てておくことが大切です。
 
本記事では、「60歳、独身女性、貯金500万円、年金月額12万円」というケースにおいて、老後生活が成り立つのかを解説します。
小山英斗

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

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老後の生活費はどのくらい必要?

総務省の「家計調査(2024年)」によると、一般的に年金をもらい始める65歳以上で単身世帯の消費支出(生活費)は月額約15万5000円で、男女別では男性が約15万2000円、女性が約15万6000円となっています。内訳は図表1のとおりです。
 
図表1

費目 65歳以上単身世帯 男性 女性
食費 約4万3000円 約4万6000円 約4万1000円
住居費(持ち家を含む) 約1万4000円 約1万5000円 約1万3000円
水道・光熱費 約1万5000円 約1万4000円 約1万5000円
被服費 約4000円 約2000円 約5000円
医療・保険 約9000円 約9000円 約9000円
通信費・交通費
(自動車関係を含む)
約1万6000円 約1万7000円 約1万5000円
その他
(交際費・娯楽費など)
約5万4000円 約4万9000円 約5万8000円

出典)総務省「家計調査 家計収支編 単身世帯 2024年」より筆者作成(1000円未満四捨五入)
 
一方で、今回の独身女性のケースでは年金が月12万円ということですので、年金だけで生活しようとした場合、かなり生活費を切り詰める必要があります。
 

年金月12万円だけで生活できる?

年金だけで生活するには、例えば図表2のような節約型の生活スタイルが実現できれば可能かもしれません。
 
図表2

費目 節約型支出
食費 約4万円
住居費(持ち家) 約1万3000円
水道・光熱費 約1万5000円
被服費 約3000円
医療・保険 約5000円
通信費・交通費
(自動車関係を含む)
約1万円
その他
(交際費・娯楽費など)
約3万円

筆者作成
 
家計調査の65歳以上単身女性の生活費に比べて、大きく節約している費目は「被服費」「医療・保険」「通信費・交通費」「その他」となります。節約型での生活費合計は約11万6000円ですので、年金月額12万円でもなんとか生活可能です。
 
生活費を抑えるコツとしては、以下のような方法が考えられます。

・スマホを格安SIMに変更
 
・不要な保険を解約
 
・公共交通機関やシニア割の活用
 
・ふるさと納税で食費の節約

しかし、家電の買い替え、冠婚葬祭、修繕費などの突発的支出には貯金を使う必要があります。
 
なお、家計調査における住居費は「持ち家」で家賃がかかっていない人が多いことから、月額では1万円台といったような数字となっています。そのため、賃貸に住んでいる単身者の場合は、家賃分をさらに支出として加味する必要があるため、年金月額12万円だけで生活していくことは厳しいことが予想されます。
 

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貯金500万円は何年持つ?

老後のライフプランでは、長生きリスクと想定外の支出が最大の課題です。例えば、年間20万円ずつ貯金を取り崩した場合、500万円は約25年でゼロになります。また、介護や医療費が増えた場合、15~20年で資金が尽きるリスクもあります。そのため、貯金500万円だけだと、80歳以降が最大の不安要素となることが考えられます。
 

老後資金を増やす3つの方法

長生きリスクに備えるため、少しでも老後資金を増やすためにはいくつかの方法が考えられます。
 

年金を繰下げて受給額を増やす

65歳から70歳まで年金受給開始を繰下げると、年金額が最大42%増額します。年金月額12万円が17万円前後になり、老後の安心度が一気に高まります。
 

働けるうちは働く(パート・アルバイト)

週3日・時給1000円で月6万円ほど稼げれば、生活の余裕が大きくなります。年金と合わせて月18万円なら、旅行や趣味も可能となるでしょう。また、60歳以降も年金をもらうまでに、働いて得た収入から貯金を増やしておくことも大切です。
 

自宅資産の活用

持ち家の場合、リバースモーゲージで自宅を担保に生活資金を借りある、あるいはシェアハウスとして空き部屋を貸すなどして収入を得る方法もあります。
 

まとめ

年金月12万円+貯金500万円で、老後の生活はギリギリ可能かもしれません。しかし、長生きや介護リスクで破綻する可能性も決して小さいとはいえません。
 
老後の不安を解消するには、「貯める」だけでなく「収入を増やす」「固定費を減らす」といった工夫も重要です。特に、働けるうちは働き、年金を繰下げて将来の受給額を増やすことは効果的です。さらに、自宅などの資産を上手に活用すれば、老後の安心度はぐっと高まるでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査 家計収支編 単身世帯 2024年 第2表 男女,年齢階級別
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
執筆者 : 小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)

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