高齢者世帯の平均年収は「約300万円」で現役世帯の約半分!?税金・社会保険料を除いた「可処分所得」はどう変わる?
しかし、実際の生活では“手取り”となる可処分所得が重要です。税金や社会保険料を差し引いた後の金額を見れば、収入差の印象は少し変わるかもしれません。
本記事では、高齢者世帯の平均年収や可処分所得の実態を解説し、老後に備えるためのヒントをお届けします。
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高齢者世帯の平均年収は約300万円、現役世帯の約半分
内閣府「令和7年版 高齢社会白書」によると、高齢者世帯の令和4年の1年間の平均所得は約305万円です。
一方で、現役世帯にあたる「その他の世帯」の平均は約656万円です。つまり、高齢者世帯の年収は、現役世帯の約半分しかないのです。
この所得には、年金や利子・配当などが含まれますが、多くの高齢者にとって、年金が主な収入源です。年金の支給額は加入期間や職歴によって異なるため、個人差も大きく、中央値で見ると250万円に下がります。
つまり、半数以上の高齢者世帯は300万円未満の年収で暮らしているということになります。
「手取り」に注目! 可処分所得で見ると差は縮まる?
年収の差だけを見れば、高齢者の生活は厳しい印象を受けるかもしれません。ただし、実際に生活に使える「手取り」=可処分所得で比較すると、その差は少し縮まります。同じく「高齢社会白書」によると、可処分所得は次のとおりです。
・高齢者世帯:約221万円
・現役世帯(その他の世帯):約326万円
手取りベースでは高齢者世帯は現役世帯の約7割となります。理由は、現役世代に比べて高齢者世帯は所得税や住民税、社会保険料の負担が少ないからです。特に、65歳以上は公的年金の一定額が非課税になり、介護保険料や健康保険料も所得に応じて軽減される制度があります。
老後生活は苦しい? 支出バランスと家計の工夫がカギ
可処分所得の差が縮まっても、生活に余裕があるとは限りません。実際には、多くの高齢者世帯が「生活が苦しい」と感じているというデータもあります。背景には、以下のような要因があります。
・医療費や介護費など、高齢者特有の支出が増える
・家にいる時間が長くなり、光熱費や食費が意外と増える
・年金収入が一定で、物価上昇に対応しにくい
こうした状況に対応するには、家計の工夫が大切です。たとえば、固定費の見直しや節税制度の活用、パートなどでの小さな収入の確保も有効です。
また、貯蓄を取り崩す場合も、計画的に行うことが重要です。金融機関の「つみたて型の商品」や「自動引き出し機能のある預金口座」などを活用すれば、生活費の管理がしやすくなります。
まとめ
高齢者世帯の年収は現役世帯の約半分ですが、可処分所得で見れば差は約7割まで縮まります。ただし、医療費や物価上昇などの影響により、生活に不安を感じる世帯も多いのが現実です。
老後の生活を安心して送るためには、「収入」「支出」「貯蓄」のバランスを意識することが何より大切です。今のうちから生活設計を見直し、少しでも将来の不安を減らす準備を始めましょう。まずは、可処分所得を把握することが、その第一歩です。
出典
内閣府 令和7年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー