父の年金は“月20万円”ありますが、古い一軒家に住んでおり固定資産税や修繕費がかさみます。現在の貯金は「300万円」まで減ったそうなので、賃貸へ引っ越しをしたほうが金銭的にいいでしょうか。

配信日: 2025.09.04 更新日: 2025.10.21
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父の年金は“月20万円”ありますが、古い一軒家に住んでおり固定資産税や修繕費がかさみます。現在の貯金は「300万円」まで減ったそうなので、賃貸へ引っ越しをしたほうが金銭的にいいでしょうか。
私たちが住まいを決める際に、持ち家か賃貸か、どちらが“お得”なのかについて、悩むことがあります。結論をいえば、双方にそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらが金銭的にお得なのかを決めることは困難であるといえます。
 
本記事では、持ち家のケースを中心にメリットなどについて考えていきます。
高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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やっぱり持ち家がお得なのか?

今回のケースでは、父親は古い一軒家に住んでいます。持ち家の最大のメリットは、家そのものが自身の資産であることが挙げられます。
 
以下で、持ち家の場合の主なメリットや特徴を少し細かく見てみましょう。
 
(1)資産価値、特に土地という資産
 
現状での古い家(建物)そのものには、築年数により償却が進み、ほとんど資産的な価値はないといえるでしょう。しかし、ある意味経年による劣化の影響を受けない土地(敷地)には、一定の資産価値があります。通常、土地の評価は、路線価で土地に接する道路ごとに定められた価額を基に評価額が算定されます。
 
それに基づき、家の所有者に対して毎年、固定資産税や都市計画税が課されることになります。今回の事例では、毎年の固定資産税がかさんでいるとのことですので、土地そのものがある程度の価値を有する地域にお住まいであることが推測されます。
 
また、固定資産税評価額は3年に一度評価が行われ、改定されます。令和7年時点では、首都圏などの全国の三大都市圏、さらには地方圏でも土地評価額の高騰の状況が続いており、固定資産税にも影響が出てくるものと思われます。
 
(2)資産として自由に活用ができる
 
築年数が経過すると家の老朽化が進み、修繕費やリフォームにお金がかかることは確かです。
 
しかし、逆に捉えると持ち家であるが故に、ライフプランに応じた自由なリフォームやリノベーションをご自身のタイミングで実施することができます。その種類によっては、国や地方公共団体の補助金制度を活用できる場合もありますので、情報を収集しておきましょう。
 
また、土地を活用することで、建物をマンションやアパート、商業ビル等に建て替えし、不動産収入を得る方法や土地そのものを貸し出すことで賃料を得る方法も考えられます。
 
(3)次世代に相続資産として移転する
 
不動産(家)は父が亡くなった段階で、相続財産として相続人に継承されることになります。
 
仮に、同じ1億円の現預金と不動産を比較しても、不動産として相続することでその評価額(固定資産税評価額)が下がるため、相続税の軽減につながります。
 
また、一定の条件を満たす場合には、小規模宅地等の評価減により、評価額の大幅な軽減を図ることができます。
 
(4)リースバックを活用する
 
リースバックとは、家(不動産)を売却することで現金化し、売却後も住み慣れた家に賃貸契約により住み続けることができるサービスのことです。
 
家を売却することで得られた一定額の資金を老後の生活資金などに充てることもできますし、医療費や介護費など自由に使用することができます。これによって、預貯金の取り崩しによる目減りを防ぐことも可能となる場合があります。
 
その一方で、家の売却額の査定を不動産会社(リースバック業者)が行うため、一般の市場価額と比べて低い査定額となる場合もあり得ることに注意が必要です。
 
また、当然ながら家の所有権を失うことになるため、売却後は賃貸住宅に住んでいるとの認識も必要となります。
 

賃貸住宅の身軽さ?

賃貸住宅の場合は、比較的気軽に住み替え、引っ越しができる身軽さが最大のメリットとなるでしょう。それぞれのライフステージ、ライフプランに応じて、また、転職や転勤などの必要性に応じて、住まいを替えていくことができます。
 
本事例の場合はそれほど頻繁に引っ越しをするニーズはないものと想定されますが、家族構成や年金収入などに応じて、希望する広さ、賃料の賃貸住宅への引っ越すことも選択の一つといえるかもしれません。
 
ただし、父がすでに働いておらず、高齢であった場合には、希望する賃貸借契約を交わすことが困難となる場合があることも想定しておかなければなりません。
 
当然のことながら、賃料負担が住んでいる間、毎月継続して発生することになります。さらに、現在の賃料が未来永劫同額で継続するとの保証はなく、近隣の賃料相場などに応じて増額されることも想定されます(減額もあり得ます)。また、原則、居住者が自由にリフォームすることができないことも覚えておかなければなりません。
 

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まとめ

今回の事例では、おそらく住宅ローンの返済については完了していると思われます。
 
しかし多くの場合、自宅を一括で現金購入する場合より、住宅ローンを利用するケースのほうが多いでしょう。その場合には、ローン返済に関する負担やリスクを背負うことになります。
 
最近では物価高や長期金利の上昇などに伴い、住宅ローン金利が上昇傾向にあります。これによって住宅ローンの負担額が増大し、家計を圧迫している状況があります。このような影響も、持ち家を取得する手段(購入方法)によるデメリットといえるでしょう。
 
父親にとっては、月20万円の年金収入をベースに、親族からの資金援助や健康状態などを加味したうえで、将来的な資金シミュレーションを行うことをお勧めします。その際には、信頼できる不動産会社やFPなど、適切な相談相手を見つけることも重要なります。
 
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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